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動悸がする女性

ドキドキ・息切れが苦しい…。4タイプ別「動悸」の原因と対処法|田中友也さん 季節の養生法

神戸にある漢方相談薬局「CoCo美漢方」田中友也さんが、“季節の養生法”をお届けする連載。今月は、「動悸」がテーマ。4つのタイプ別に、原因や症状をラクにするセルフケアをご紹介します。

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血行不良、ストレス、疲労…原因別「動悸」の4タイプを解説

動悸とは、心臓がドキドキ・バクバクする、心拍が一時的に飛ぶ、息苦しさを感じるなどの症状のこと。いつ起こるか分からない動悸に悩んでいる人は少なくありません。

東洋医学で動悸は、「心悸(しんき)」と言われ、五臓六腑のうち「心(しん)」と深い関係があります。動悸の原因はさまざまで、血行不良や食生活の悪さ、ストレスなどが考えられます。

原因別に4つのタイプの特徴と養生法を紹介しますので、当てはまるタイプを見つけ、それぞれのセルフケアを参考にしてみてください。

(1)血流が悪い「瘀血(おけつ)」タイプ

1つ目は、血行不良が原因の「瘀血(おけつ)」タイプです。体が冷えている、座りっぱなし、運動不足などにより血液の流れが悪くなり、動悸が起こります。ドロドロと濃縮した血液が流れることで、「心」に負担がかかり、ドキドキ・バクバクといった拍動、息切れを感じます。

動悸のほかに、胸の痛み、顔色が悪い、シミが多い、普段から頭痛や肩こり、生理痛がある、舌や唇の色が悪いなども、瘀血タイプの特徴。

時間をかけて血液がドロドロになり瘀血になるため、「心」の働きが低下して、動悸が慢性化しやすくなります。瘀血を改善することで、「心」の負担が減り、動悸が治まっていくでしょう。

(2)食生活が悪い「痰湿(たんしつ)タイプ」

2つ目は、暴飲暴食が原因の「痰湿(たんしつ)」タイプです。アルコールの飲み過ぎ、脂っこい食べ物などの食べ過ぎで、痰湿と言われる余分な水分や汚れが蓄積。それが「心」に負担をかけ、動悸を引き起こします。瘀血タイプと同じく、血液はネバネバ・ドロドロ。

健康診断でメタボを指摘された人や、むくみやすい、お腹周りが太っている、口の中がネバつく、舌の上のこけに厚みがあるなども、痰湿タイプの特徴。食生活を見直して体質改善をすることで、動悸を予防できます。

(3)ストレスが原因の「気滞(きたい)タイプ」

ドキドキと動悸がする女性

3つ目は、ストレスが原因の「気滞(きたい)」タイプです。「気(き)・血(けつ)・水(すい)」の血や水は、気(エネルギー)によって運ばれますが、ストレスを感じると、気の巡りが悪くなり停滞。血が巡らず、「心」の負担となり動悸が起こります。

気滞タイプは、仕事やプライベートで、イライラ・モヤモヤしたり、不安が強くなったりとストレスがかかったタイミングに動悸が起こりやすいのが特徴。感情の変化と共に胸の苦しさや胸の痛み、のどの詰まりを感じやすくなります。

ストレスやプレッシャーが多い更年期世代の動悸もこのタイプが多く、改善・予防するには、ストレスを溜めない、がまんしすぎない生活が大切です。

(4)虚弱体質の「気血不足タイプ」

4つ目は、虚弱が原因の「気血不足」タイプです。気や血は、「心」を正常に働かせるために欠かせません。しかし、疲労の蓄積や慢性的な寝不足、生理中や産後などで、体の元気や血が不足すると、「心」の働きも弱くなり、動悸が起こりやすくなります。

気血不足タイプは、動悸のほかにもめまいや不安、不眠、やる気の低下などの症状も起こりやすいのが特徴。血は「心」を安定させるために必要で、不足するとメンタル不調にもつながります。疲れをためない生活を心がけ、虚弱体質を改善すると、次第に動悸が起こりにくくなるでしょう。

4タイプ別 「動悸」が起こりやすくなるNG習慣と食養生

動悸を改善・予防するには、生活習慣や食生活を見直すことが大切です。4つの原因タイプ別に、やってはいけない“NG習慣”と、体質改善に効果的な食養生をまとめました。すぐに治るものではありませんが、体の内側から元気を取り戻すことで、動悸を起こりにくくしていきましょう。

ただし、胸の痛みが続く、頻度が多くつらい、胸の苦しさが治まらないなど、症状がひどい場合や気になる症状が続く場合は、自己判断せずに早めに医療機関を受診してください。

瘀血タイプのNG習慣:座りっぱなし、体を冷やす

瘀血タイプは、血行不良が原因。デスクワークなどで座りっぱなしの時間が長くなると、全身の血流低下につながり、動悸が起こりやすくなります。

また、一日中、家の中にいて体を動かさない生活も血液ドロドロに。冷たい飲み物・食べ物の取り過ぎ、薄着で生活するなど、体を冷やすことも瘀血につながるので気をつけましょう。

瘀血タイプにおすすめの食べ物…玉ねぎ、なす、ニラ、パセリ、らっきょう、納豆、桃、クランベリー、サフラン、いわし、タラ、カカオチョコレートなど

痰湿タイプのNG習慣:暴飲暴食の食生活

暴飲暴食で太っている女性

痰湿タイプは、食べ過ぎ・飲み過ぎを避けましょう。暴飲暴食は、胃腸に負担をかけて、ベタベタ・ネバネバした痰湿がたまる原因に。動悸の予防には食生活の見直しがカギになります。

健康診断でメタボやコレステロール値を指摘された人は、脂っこい料理や味付けの濃い食事、甘いもの、アルコールの飲み過ぎを控えましょう。

痰湿タイプにおすすめの食べ物…はとむぎ、小豆、黒豆、きゅうり、冬瓜、インゲン豆、もやし、ハマグリ、鮎、海苔、海藻、わかめ、牛たん、紅茶など

気滞タイプのNG習慣:嫌なことをがまんする生活

気滞タイプの原因は、ストレス。嫌なことをがまんしたり、自分の気持ちにふたをしたりしてストレスをため込むと、「心」に負担がかかります。イライラ・不安・落ち込みといった感情を引きずらないように、自分の好きなことをして過ごして、リラックスする時間をつくりましょう。

気滞タイプにおすすめの食べ物…パセリ、ミント、セロリ、しそ、かぼすやグレープフルーツなどのかんきつ類、ジャスミン茶、ミントティーなど

気血不足タイプのNG習慣:睡眠不足

気血不足タイプが最も避けた方がいいのは、睡眠不足や疲労の蓄積。体の元気や血が不足しているので、これ以上無理をすると、ますます動悸が悪化します。

スマホやパソコンの使いすぎもNG。目を酷使する習慣は、気血不足に。体を労わり、睡眠・休息の時間を削らない生活が大切です。

気血不足タイプにおすすめの食べ物…牛肉、豚肉、鶏肉などの肉類、白米、穀類、豆類、きのこ類、かぼちゃ、ほうれん草、レバー、ベリー類など

そのほか、全タイプ共通のNG習慣は、辛い料理の食べ過ぎ、コーヒーやお茶などのカフェインの飲み過ぎ。交感神経を優位にさせ、ドキドキ・バクバクといった動悸につながることがあります。

動悸に効く2つのツボ 「神門(しんもん)」「内関(ないかん)」

動悸が起こったとき、少しでも早く症状をラクにするのが深呼吸とツボ押しです。

横になったり座ったりしてラクな姿勢になり、「神門」や「内関」のツボを押しながら、ゆっくりと深呼吸をしましょう。動悸が治まるまで深呼吸を続けてください。

神門(しんもん)

ツボの位置:手首の内側で、曲げたときにできるシワの線上にあるツボ。小指側にあるすじの親指寄りが神門。

押し方:親指を神門にあて、残りの指で手首をつかみます。イタ気持ちいい程度の強さで押します。両手にあるので、どちらも刺激しましょう。

神門のツボ

内関(ないかん)

ツボの位置:手首を曲げたときにできるシワから指3本分の位置にあるのが内関。手首の内側、縦2本のすじの間にあります。

押し方:ひじ側から、すじの間に指先をぐっと押し込むように押します。

内関のツボ

今月の養生ポイント:「心」の健康は精神的な安定にもつながる

動悸は、五臓六腑のうち「心(しん)」と関係が深いとお伝えしました。東洋医学で、「心」の働きは2つあるとされています。1つは、心臓としての働きである、血液を全身に運ぶポンプの役割。もう1つは、意識や思考などの精神活動を司る役割。

東洋医学では「心は神を蔵(ぞう)す」という言葉があります。「神」とは、精神や意識、思考のことで、心はそれらを司っていることをあらわしています。何かを考えたり、意識を集中したり、感情をコントロールしたりといった精神活動を「心」が担っているのです。

そのため「心」が元気であることは、メンタルを健康に保つためにも重要。「心」に負担をかけない養生を習慣にすることで、小さなストレスに振り回されず、精神的にも安定した毎日を過ごせるはずです。

取材・文/釼持陽子 イラスト/植松しんこ

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