吉岡里帆さん「信じ続けることができる人間でありたい」|表紙インタビュー
ものごとを見通すような澄んだ瞳で質問を聞く吉岡里帆さん。自分の言葉で丁寧に答える様子は、まるで映画『正体』の沙耶香が、“信じる”というテーマを体現しているかのようでした。
吉岡里帆さん
自信を作るのは、あのとき頑張ったという思い
生きていくには、自分を信じてくれる存在が必要――。吉岡里帆さんは映画『正体』で、日本中を震撼させた殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けたのち、脱走して潜伏を続ける鏑木慶一(横浜流星)を信じようとする、編集者の安藤沙耶香を演じます。
「沙耶香と似ているのは、信じた人を惑わされることなく信じたいと思う気持ち。似ていないのは思い切りのよさ。警官に踏み込まれたら驚きで固まってしまい、タックルする余裕はないですね(笑)」
真犯人を巡る謎、鏑木を信じる人の葛藤、スタントマンでなく横浜さん自身が演じたアクションと、目にも心にも訴えかけてくる映画。
「横浜さんは、役ともリンクするまっすぐな人。焼鳥屋さんの場面では、沙耶香との何げない会話で涙を流されたんです。思いもよらない反応でしたが、その表情が本当に素敵で、もらい泣きしそうなのを必死でこらえました」
この作品のキーワードは“信じる”という気持ち。吉岡さんに「惑わされることなく信じる」ために実践されていることがあるそうです。
「人を信じるって、自分に自信がないとできませんよね。そしてその自信は、余裕もないと揺らいでしまう。余裕を作るために心がけているのは、小さな後悔をしないこと。帰ったらメイクを落とすとか、後回しにしたら絶対ストレスになることは、面倒くさがらずにやっています。小さなことでも『あのとき、がんばった!』という思いが、自信を作ると思うので」
吉岡さん演じる沙耶香は、信じていてもかなわない痛みを、何度も味わってしまうキャラクター。
「自分が信じるものを信じ続けるって、本当に体力も精神力もいること。でも、いつか思いは届く。これは、そういう思いを肯定する作品。それをきちんと描く日本映画っていいなと改めて思いましたし、私も信じ続けることができる人間でありたいと思いました」
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【INFO】映画『正体』
11月29日(金)より全国にてロードショー
日本中を震撼させた凶悪殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けた鏑木(横浜流星)が脱走した。逃走を続ける鏑木と日本各地で出会う、沙耶香(吉岡里帆)、和也(森本慎太郎)、舞(山田杏奈)の3人と、彼を追う刑事・又貫(山田孝之)。又貫は沙耶香らを取り調べるが、それぞれ鏑木の印象は別人のように異なっていた。343日間、逃走を繰り返す彼の正体とは? そして顔を変えながら日本を縦断する鏑木の〈真の目的〉とは? 真相が明らかになったとき、“信じたい”と願った彼らの想いに涙があふれる――。
【出演】横浜流星、吉岡里帆、森本慎太郎、山田杏奈、山田孝之 ほか
【監督】藤井道人 【原作】染井為人
【配給】松竹
逃走を続ける、5つの顔を持つ指名手配犯 彼と出会い、信じる、疑う、恋する、追う4人 極上の逃亡サスペンス
https://movies.shochiku.co.jp/shotai-movie/
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(からだにいいこと2024年12月号より)