アラフォーからの不安と不調にサヨナラ「生理の終わり」の迎え方・後編
「生理の終わり」を不安に思う方に、更年期の正しい情報と、節目の時期を軽やかに乗り越える知恵をお届けします。後編では、さまざまな不調を乗り越えるための「口グセ」や、病院でできることをご紹介します。
目次
更年期がいつの間にか去る!? 「生理の終わりがラクになる」口グセ
気持ちひとつで体は変わります。自分を解放できるとっておきの「口グセ」で、不調を忘れてポジティブな毎日を!
自分本位に適当に生きるのがちょうどいい
「責任感が強く生まじめな人や心配性の人は、生理の終わりに不調が強く出がちです」と、婦人科医の松村圭子さん。
「『◯◯になったらどうしよう』は禁句。取り越し苦労をしても不安になるばかりです。代わりに楽しい言葉や良い意味で適当になれる言葉を口に出すと、それだけでも自律神経が整い、不調の波が穏やかになります」
もともと持っている気質に加えて、この世代は仕事や家庭での環境の変化が大きく、疲れやストレスもたまりがち。落ち込みそうなときは、上の口グセを唱えて嫌なことから離れ、自分本位に振る舞ってみて。
「生理の終わりがラクになる」口グセ
「とりあえず笑っとくか」
“幸せホルモン”と呼ばれる「セロトニン」は笑うことで分泌されます。実は作り笑いでも分泌され、楽しい気分に。気分がふさいだら「とりあえず口角を上げる」を意識して。
「大丈夫。ゴールは必ずある!」
「更年期は必ず終わります。その後は楽しい時間が待っていますよ」と松村さん。ゴールがあると知ったうえで普段はなるべく存在を忘れるのが、更年期との上手な付き合い方。
「世の中、年下がいっぱいよ」
「世間には自分より年下の人がたくさん。年齢がすべてじゃないけど、私たちはもっと自分本位に生きていい」と松村さん。時には遠慮せずに我を通したり、発散しましょう。
「ハァ〜、今日も“推し”が尊い」
何かに夢中になると自律神経が整い、更年期不調が気にならなくなります。松村さんのおすすめは「推し活」。トキメキを感じてストレス解消にもなる、最高の更年期対策だとか。
「悪いけど、それやらないから」
嫌なことはやらず、ストレスからは逃げるのが鉄則。手を抜いたり誰かに任せたりすることでも心身はラクになると言います。「自分1人の時間を持つことも大切」(松村さん)
「リズム運動」でセロトニンを出すと効果的
“幸せホルモン”の「セロトニン」は、ウォーキングやその場足踏み、咀嚼といったリズム運動によって分泌されます。食事をよく噛んで食べるだけでもセロトニンが出て自律神経が整い、更年期不調が和らぎます。
実は気軽な相談窓口 生理の終わりに「病院でできること」
さまざまな不調が出やすい時期は、医療の力に頼るのも手。専門家に相談しながら悩みを解決できます。
つらいときは頼って!治療には保険も効きます
「更年期不調で病院へ」と言うと、大げさかも、と遠慮してしまう人や何をするのか不安な人もいるかもしれません。でもつらいときはがまんせず、婦人科の医師に相談するのが正解。
「血液検査をすることで今の不調が更年期のせいなのか、別の原因によるものかがわかります。もし更年期だった場合は、その人に合った投薬や注射を行うことで症状がラクになります」と松村圭子さん。
保険適用なら一般的に、ホルモン補充療法の場合は1ヵ月1,000〜3,000円、ホルモンバランスを整えるプラセンタ注射では1回600円程度と、比較的通いやすい価格なのもうれしいところ。
「更年期症状には波があるので、受診の日はたまたま元気でも、別の日に症状がひどくなることも。焦らず、長い目で調子を整えましょう」
診察の流れ※医療機関により異なります
(1)医師による問診
医師が症状を詳しく聞きます。現在の不調に別の病気が隠れている可能性もあるため、これまでの病歴や体質などについて細かく聞かれる場合も。
(2)血液検査
血液検査でホルモンの値をチェック。E2(エストロゲン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)を測るのが一般的。更年期に差しかかるとE2は下がりFSHは上がります。
(3)治療・投薬
医師がその人に合った治療を行います。薬なら約1カ月分を処方されることが多く、その後は1カ月に1回程度のペースで通院し、様子を見ていきます。
代表的な治療
HRT(ホルモン補充療法)
エストロゲンを補って更年期症状を改善。パッチ、塗り薬、内服があります。血栓症のリスクがあるため、病歴や体質によっては使用不可。
漢方薬
体全体のバランスを整えて体質を改善。HRTとの併用も可能。更年期の代表的な薬は「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「加味逍遙散(かみしょうようさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」の3つ。
プラセンタ注射
ヒトの胎盤から抽出されたプラセンタが、ホルモンや自律神経のバランスを調整。アンチエイジングや疲労回復効果も期待できます。
医師に相談する目安って? こんな時には通院を
●仕事を休む
●家事ができない
そのほかにも生活に支障をきたすほどつらい症状が出ていたら、迷わず婦人科を受診して。
複数の強い症状が頻繁に出るなら相談を
冷え、不眠、イライラ、落ち込み、息切れ・動悸、のぼせ、発汗といった症状がいくつもあり、どの症状もかなり強く出ている人は、がまんせず医師に相談を!
イラスト/Yuko Kawason 森 美沙子
(からだにいいこと2024年10月号より)
[ 監修者 ]