カサつき、爪問題、痛み、すべて改善!「足のトラブル」大百科【前編】
全体重を支える足は、加齢のサインが出やすい場所。肌や爪、血流や足の形のトラブルを改善するには、早めに正しいケアをすることが大切です。前編では、目につきやすい肌と爪の症状についてご紹介します。
目次
過酷な環境にある足は早めのケアで徹底ガード
「全体重を支える足は、人体でもっとも過酷な環境に置かれた部位。ゆえに加齢のサインが出やすく、最初に悲鳴を上げるのです」と、足を専門とする皮膚科医の久道勝也さん。
女性の場合、更年期もトラブル増加の一因です。女性ホルモン・エストロゲンが減少すると、筋肉や腱(けん)、血管の柔軟性が低下。骨や関節が変形し、扁平足(へんぺいそく)になる人が増えます。タコができやすくなる、爪がもろくなるなどの皮膚症状や、冷え・むくみといった血流障害が現れる人も。ひどくなると、歩行に支障をきたすことがあるといいます。
血管外科医の長﨑和仁さんは「人間が二足歩行である以上、足への負担は避けられません。症状が軽いうちに、足からのSOSを正しく受け取り対処して」と話します。
正しいケアで、足の健康を守りましょう!
何もしなければ足の耐久期限は50年!?
毎日地面にたたきつけられている足。何もせずに健康を維持できるのは約50年だそう。長く自分の足で歩きたいなら、アラフォーからケアして!
意外な原因があるかも!? 早めの対応がカギ
足のトラブルでまず目につく、肌や爪の症状。見たままの状態と思いきや、異なる原因が潜んでいる場合もあるので自己判断は禁物です。
「たとえば、かかとのガサガサ。乾燥のほか、水虫でも似た見た目になります」と、皮膚科医の久道勝也さん。
足の変形など、別の場所に起きた異変が皮膚に表れることも。
「繰り返す靴ずれやウオノメは、靴が合わなかったり、扁平足や外反母趾(がいはんぼし)が生じたりしているサイン。歩き方や靴選びを見直すのも一手です」
肌や爪の小さなトラブルは軽視されがちですが、放っておいて良くなるケースはまれだそう。爪の変形など、進行すると痛みを引き起こし、歩き方に影響することもあります。早い段階でのケアを心がけましょう。
肌・爪のトラブル
肌の異変や爪の変色は、足が真っ先に出すSOS。放置しても良いことはないので、見逃さずに対処を!
水虫
かゆみが出ないことも。皮膚の赤みには要注意!
水虫の症状は、できる場所やタイプによってさまざま。半数以上はかゆみが出ません。赤みなど気になる症状が長引くときは、皮膚科を受診するのがベター。
水虫のサイン
- かゆみ
- ガサガサ
- ジュクジュク
- 赤みがある
- 水ぶくれ
【トラブル予防】「すぐ洗う」習慣を
水虫を引き起こす白癬菌(はくせんきん)は、足に付着してから感染までに丸1日かかります。銭湯やプールの後は24時間以内に足をしっかり洗い流して。
巻き爪
運動不足で爪は変形! 痛まなければ対処不要
巻き爪の原因は、歩行時にしっかり足の指を使わないこと。入浴時などに足指を軽く曲げ伸ばすと予防に。痛くなければ処置は不要ですが、痛みが出たら皮膚科へ。軽度なら市販グッズでの対策も効果的。
【トラブル予防】爪は足指の先端に合わせて切る
爪切りで、足指の肉より少し先の長さで直線状に切るのがベスト。切りすぎると、炎症の原因になります。巻き爪になっているときも同様です。
爪の変色
水虫や感染症の可能性も。まずは検査を受けて
爪は加齢でも変色しますが、白や黄色、茶色になっているなら爪水虫のおそれも。ほかの感染症が隠れている場合もあるので、必ず皮膚科で検査を受けて。
爪が伸びない
放っておくより皮膚科受診がベター
足の爪には、体重を支える役割があります。爪を生み出す「爪母(そうぼ)細胞」が回復すれば再び爪が伸びるようになるので、放置せずに皮膚科に相談してみましょう。
ニオイ
足指の間の汗をこまめに拭き取る
イヤなニオイは、細菌が汗や皮脂を代謝することで生じます。足裏や足指の間は汗をかきやすいので、こまめに拭き取りましょう。
清潔なのににおうなら病気のおそれあり
対策してもニオイが気になるときは、水虫のほか、細菌感染を起こしていることも。皮膚科で治療ができます。
靴ずれ
まずは靴の見直しを。足の形も原因の1つに
まずは【後編】を参考に、靴の見直しを。それでも靴ずれができる場合、扁平足などが原因かも。できてしまった靴ずれには、ばんそうこうや塗り薬で対処し、治りにくいときは皮膚科を受診しましょう。
かかとのカサつき
ラップを使ってまずは保湿を
清潔なかかとに市販の保湿剤を塗り、ラップで覆って1時間ほどパックを。どうしても角質が気になるなら、ヒリヒリしない程度に削ってもOKです。
パックで治らなければ水虫の可能性も!?
かかとの乾燥は、「角質増殖型」の水虫の症状そっくり。検査なしでは、医師でさえ判別できません。数日パックをしても改善しないなら皮膚科へ。
写真提供/下北沢病院
できもの
「足のクセ」の象徴。原因に合わせたケアが効果的
タコやウオノメは、歩き方などの足のクセが如実(にょじつ)に表れたもの。繰り返しできるなら、靴選びや歩き方を見直して。また、見た目が似ていても、イボは原因も治療法も異なります。迷ったら自己判断せず、皮膚科を受診しましょう。
タコ
ずれる動きで発生。削ってもOK
靴でこすれる刺激が原因。市販の外用薬でセルフケアできます。削るときは出血しない程度にとどめて。
ウオノメ
芯ができて痛む。タコと同じケアを
1カ所に繰り返し圧がかかることで生じます。タコと同様に、市販の外用薬を使うのも手段の1つ。
イボ
ウイルスが原因。削るのは厳禁!
ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染で起こります。削らず、早めに皮膚科で治療を受けて。
冷え・むくみや足の形のトラブル対策は後編でチェックしてください。
イラスト/のがみもゆこ 協力/下北沢病院
(からだにいいこと2024年12月号より)
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