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ホームドクター松平浩先生

腰痛の治療にとどまらず患者さんの“明るい未来”を提供する┃ホームドクター(22)

Best Doctors認定を受け続け、保健文化賞の受賞経験もある“腰痛治療の名医”松平 浩先生。「運動療法+心理的アプローチ」という新しい治療は、腰痛改善にとどまらず“健康的な生き方”もサポートしています。

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「からだにいいことホームドクター」とは?
「この健康法は自分に合っているのかな」「どうしてこんな不調が起きるんだろう」など、自分ではわからないけれど病院に行くほどではない“セルフケア以上、診療未満”のお悩みを、各科の名医と一緒に解決していく、健康応援プロジェクトです。

腰痛をスピーディーに改善し、“明るい未来”まで提供

松平浩先生

整形外科医を目指したきっかけと腰痛治療に特化した理由は?

松平浩先生 正直なところ、医者にも整形外科にも強い興味があったわけではありません。舞台芸術に心ひかれ、美術館に通う高校生でした。しかし、父が整形外科の開業医だったため、「将来は父の跡を継ぐのだろう」という漠然とした思いで医学部に入学しました。学生時代も、関心が向くのは整形外科よりも血液内科や精神科でした。

そんな私が腰痛研究に携わるようになったのは、東京大学整形外科に入局後、腰痛グループの先輩の手伝いをしたのがきっかけです。次第に腰痛の専門家として自覚が芽生えるとともに、当時、欧米で示された

「腰痛にストレスなどの“心理的要因”が関係する」

というエビデンスが、日本人にも当てはまるのか検証する必要性を感じました。そして、何の基盤もないなかで、手探りで研究を始めたんです。

長年の研究によって誕生した「松平式腰痛対策メソッド」の特徴とは?

松平浩先生 腰痛の現状からお話ししましょう。国民生活基礎調査によれば、日本人の自覚症状には男女ともに「腰痛」が多いという状況が続いています。腰痛は欠勤の理由になるなど、労働生産性の面でもネガティブに働くことが多いです。腰痛の人が減らないのは、腰痛の原因が多岐にわたって、保険治療だけで治せないため。本来、患者さんの姿勢のクセや暮らし方、物事に対する受け止め方などを幅広く見極めて、その方に最適な方法を探って医療を提供する必要があるのです。

そこで、私は腰痛を起こしやすい体の使い方を探り、従来の運動療法に加えて、認知行動療法※などの心理的なアプローチも重視しています。同時に、患者さん自身が誰かに治してもらうという発想から抜け出し、“セルフマネジメント(自己管理)”できるようになるのも特徴です。このノウハウを身につけた結果、腰痛のスピーディーな解決だけでなく、患者さんのやりたいことが実現できる“明るい未来”まで提供できるようになっています。

※認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法の一種。

腰痛をやわらげるためにできることを教えてください

松平浩先生 慢性腰痛の意外な原因として、脳の働きが関与している可能性が明らかになっています。患部は治っていても、痛みや動かすことに対する恐怖が強くなって、脳のシステムに不具合が生じている状態。そんなときに実践してほしいのが、「3秒これだけ体操」です。

足を肩幅よりもやや広めに開き、お尻に両手を当ててひざを伸ばしたまま、息を吐きながら3秒腰を反らすだけの簡単な体操です。腰痛の人にとっては症状が悪化しそうな怖い動きですが、それを少しずつ実践して克服することで、動かせないと思い込んでいた“腰を動かせる”という自信につながります。これが、腰痛改善の大きな一歩です。

サハラ砂漠でも「3秒これだけ体操」を実践

松平浩先生がサハラ砂漠で行う「3秒これだけ体操」

音楽に合わせて腰痛を改善する動きを取り入れたダンスを考案するのが好きな松平浩先生。日頃からダンスや「3秒これだけ体操」を行っていて、旅先でも欠かさないそう。

取材・文/江山 彩 協力/Medical F2F
(からだにいいこと2024年10月号より)

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