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物忘れをしている女性

「物忘れ」が起こりやすい人の特徴は?血の巡りと腎のケアがカギに|田中友也さん 季節の養生法

神戸にある漢方相談薬局「CoCo美漢方」田中友也さんが、“季節の養生法”をお届けする連載。今月は、「物忘れ」がテーマ。東洋医学からみた原因と、今日から始められるセルフケアを紹介します。

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「物忘れ」が起こる原因は?

「あれ…それ…。ほら、あの人…」などと、話したいことがあるのに言葉が出てこない、人の名前が思い出せない。このような「物忘れ」が増えたと感じることはありませんか。

物忘れが頻繁に起こると、認知症の始まりでは? と不安になりますが、それらは別物。一時的に忘れても後から思い出すことができたり、忘れたこと自体を覚えていたりすれば、認知症ではなく物忘れの可能性が高いでしょう。

東洋医学では、物忘れは大きくわけて2つのタイプがあると考えられます。それぞれの原因や対策を解説します。

血の巡りが悪い「瘀血(おけつ)」タイプ

物忘れの原因のひとつが「瘀血(おけつ)」といわれる血の巡りの悪化です。運動不足や冷え、同じ姿勢が続くなどして血流が悪くなると、瘀血が起こります。

また、慢性的な睡眠不足や、目・頭の使いすぎ、生理中や出産後には、「血虚(けっきょ)」といわれる血が不足した状態にもなり、脳の血流が悪化。その結果、思い出せない、思考力・記憶力が低下するなど、物忘れにつながります。

老化によって起こる「腎虚(じんきょ)」タイプ

もうひとつが、老化が原因で起こる「腎虚(じんきょ)」タイプ。五臓六腑のうち「腎」は生命エネルギーをあらわし、年齢を重ねると誰でも腎が衰え、「腎虚」が進んでいきます。

東洋医学で「腎は髄(ずい)を生じ、脳は髄(ずい)の海と為す」という言葉があります。髄は脊髄をあらわし、人の体の根本をつくるもの、その髄が生まれるのが腎であるという意味。腎と脳は関係が深く、腎虚が進むと物忘れなどの老化現象が徐々に増えていきます。

原因別「物忘れ」を予防する養生法

瘀血と腎虚のどちらも年齢と共に起こりやすくなりますが、生活習慣が乱れていたり、ストレスや疲労が重なるとさらにひどくなる場合があります。次からご紹介する養生で体を労わっていきましょう。

瘀血タイプ:体を冷やさず血流アップを

瘀血の大敵は冷え。薄着で出かけるのをやめて、体を冷やさないよう意識しましょう。特に、太い血管が通る首や手首、足首を冷やさず、家の中でも温かくして過ごしてください。長時間同じ体勢で過ごさずに、立ったり歩いたりして、家事をして動くことも血流アップに。

ストレスも血の流れを停滞させます。嫌なことがあったらなるべく早めに発散して、リラックスして穏やかに過ごすことも脳の血流を促し、物忘れ予防に効果的。血をサラサラにする食べ物もおすすめです。

瘀血タイプにおすすめの食べ物…納豆、黒豆、小松菜、ニラ、パセリ、玉ねぎ、イワシ・サバなどの青魚、鮭、ブルーベリー、酢など

掃除している女性

腎虚タイプ:予定を入れすぎずハードな生活をやめる

誰でも加齢と共に腎は衰えますが、過労や睡眠不足が続くと、その老化スピードが加速します。老化をゆるやかにするには、しぶとい疲労になるまで放置しないこと。

少し疲れたら休み、睡眠を確保する。平日も休日も予定を詰め込みすぎず、ハードな生活を送らないことが大切です。腎虚タイプの物忘れ予防には、心と体にゆとりを持つことが大事。腎は冷えに弱いので、瘀血タイプと同じく、体を冷やさない工夫をして過ごしましょう。

腎虚タイプにおすすめの食べ物…黒ゴマ、黒豆、牡蠣、キャベツ、豚肉、ブロッコリー、クルミ、栗、クコの実、桑の実、ぶどうなど

全タイプ共通:脳に刺激を与える生活を送る

脳は刺激が多いほど活発に働き、若々しさを保てます。趣味や習い事を始める、やったことがないことにチャレンジするなど、慣れていることよりも新しいことに目を向けてみてください。人とよくしゃべる、笑って過ごすなども効果的。脳をマンネリ化させず、自らの行動で活性化することで物忘れを予防しましょう。

「物忘れ」対策に効果的なツボ

物忘れが増えてきたかも…。そう思ったら、頭にあるツボを押してみましょう。

百会、神庭のツボ

神庭(しんてい):顔の左右の中心で、髪の毛の生え際から指1本分程度上の位置。

百会(ひゃくえ):頭のてっぺん。押すとズーンと響くところ。

押し方(神庭・百会共通):指先でトントンとたたいたり、指の腹で軽く押して刺激。

ツボ 脳戸 天柱

天柱(てんちゅう):盆の窪(首の後ろの中央のくぼんだ部分)の両側、少し凹んだところ。

押し方:両手で頭を包むように支え、両手の親指でツボを押します。お風呂で首まで湯船に浸かり、ツボ周辺を温めるのもおすすめ。

脳戸(のうこ):後頭部にあるツボ。首から上にあがり、出っ張ったところの少し上にある凹んだところ。

押し方:片手で頭を包んで手で支えながら、親指の腹で軽く押します。

今月の養生ポイント:1年間がんばった自分を労わりましょう

お正月の準備、大掃除など、年末はやることが山積み。年内ギリギリまで、仕事や家事、子どものことなど、忙しく過ごしている女性が多いでしょう。睡眠不足や疲労の蓄積、目や頭の使いすぎなどで、血が不足した血虚の状態になり、ますます血が滞りやすい時期です。そのうえストレスも多く、気温が低くて体も冷えるため、腎にも負担に…。

やるべきことはいっぱいなのに、「何を買いに来たんだっけ?」「何をしようと思ったんだっけ…」というシーンが増えたら要注意。そうした物忘れ以外にも、目がかすむ、立ちくらみやめまいがある、髪の毛がパサつくといった症状があれば、いったん立ち止まって休息をとりましょう。

年末年始は、1年間フルパワーでがんばった自分を労わる時間を持ってみてください。しっかり休んで脳をリフレッシュして、新年の目標を立てるのも良いですね。2025年も、養生で心と体を整えて元気に過ごしていきましょう。

取材・文/釼持陽子 イラスト/植松しんこ

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