先進医療を含む多彩な技術で”見える”暮らしを守る┃ホームドクター(23)
幅広い眼科疾患の検査や手術に対応するため、最新の医療環境を整備する眼科医・今野泰宏先生。「視力回復は社会貢献になる」という信念を掲げ、患者1人ひとりの思いに寄り添う診療のあり方を伺いました。
「からだにいいことホームドクター」とは?
「この健康法は自分に合っているのかな」「どうしてこんな不調が起きるんだろう」など、自分ではわからないけれど病院に行くほどではない“セルフケア以上、診療未満”のお悩みを、各科の名医と一緒に解決していく、健康応援プロジェクトです。
目次
患者さんの視力回復は社会貢献
医師を目指したきっかけと眼科を選択した理由は?
今野泰宏先生 学生のころから、「医師にしかできない重責を担い、人の役に立ちたい」という思いがありました。眼科を選んだ理由は3つあります。
1つ目は、手術の執刀ができること。手術によって見える世界は変わります。患者さんの劇的な変化に立ち会えるのは、私の喜びになると思いました。
2つ目は、私自身が中学時代に近視に悩まされたこと。慣れないコンタクトレンズを装着して陸上部員として活動するのは、非常に煩わしかったです。当時は煮沸消毒が必須で、取り扱いも煩雑でした。こうした経験も踏まえて、目の病気に悩む人に寄り添いたいと考えました。
3つ目は、眼球の神秘的な美しさに魅了されたこと。たった7gの小さな臓器である眼球から、私たちは情報の8割を得ています。この魅力的な臓器を守ることが使命だと感じています。
最新の眼科治療を取り入れ、いち早く設備を導入する目的は?
今野泰宏先生 見えにくさの度合いも、感じるストレスも十人十色です。そのなかで、患者さんのニーズに幅広く応えるには、一般的な眼科診療に加え、先進医療の選択肢が充実していることは重要です。
高齢になると増える白内障は、老化だから仕方ないとあきらめる方も少なくありません。でも、1つの距離にだけピントが合う単焦点眼内レンズを用いる手術のほか、遠くから近くまで見える多焦点眼内レンズを用いる手術も用意することで、眼鏡が必要なくなる生活を送れる可能性があります。
近視矯正の最新治療「フェイキックIOL」にも注力しています。日帰り手術で患者さんへの負担も少なく、0.04の視力が翌日には1.2に回復。朝、枕元の眼鏡を捜す不便さから解放され、見える世界が変わる喜びは、患者さんの笑顔を通じて伝わってきます。患者さんが視力を回復して自分らしい人生を歩めるようにすることは、社会貢献だと思っています。同時にそれを実現することで、私自身の人生にも光を照らしてもらっています。
「眼精疲労」や「ドライアイ」に有効な対策を教えてください
今野泰宏先生 目の疲れやドライアイに直結しやすいのが、“3コン”こと「コンタクト」「エアコン」「パソコン」です。目の乾きは涙の量が少ないことが問題だと考えられがちですが、まつげの生え際にあるマイボーム腺から油分が出て涙の蒸発を防ぐことも欠かせません。
女性の場合、まつげのエクステやアイラインなどでマイボーム腺が塞がれ、ドライアイを患う人も多いです。アイメイクは生え際から少し離して行い、夜には落とすことで予防できます。マイボーム腺の詰まりを緩和し、目の疲れを回復するには、5分ほど目をあたためてマッサージを行うのも有効ですよ。
勉強会仲間との食事でリフレッシュ
休日もより良い眼科診療を目指す勉強会に参加し、たゆまぬ努力を続ける今野泰宏先生。勉強会や学会のあとに、その土地のおいしいものを食べるのが息抜きになるそう。
取材・文/江山 彩 協力/Medical F2F
(からだにいいこと2024年12月号より)