髪と頭皮にいいシャンプー・トリートメントは?|編集長の美髪への道
からだにいいことWeb編集長の古郡(ふるこおり)が、40代からのヘアケアについてプロに聞く連載。髪を気にする割にシャンプーやトリートメントは“なんとなく”選んでいる古郡。商品選びのポイントが知りたい!
目次
なんとなく適当に買うのをやめたい
髪悩みを語り始めたらきりがない古郡ですが、実はシャンプーやトリートメント、スタイリング剤などへのこだわりはそれほどありません。というより、どんな基準で何を選べばいいのかがよくわかっていません(汗)。
特にトラブルがなければ前回と同じものを買うか、そのときの気分でなんとなく目についたものを買うか。
一方で、SNSで流れてくる明らかにPRっぽい投稿が気になってしまうミーハーな面もあり、取り寄せてみては「なんか違ったな…」なんてこともよくあります。
今回、せっかくプロの意見が聞けるのなら使っているアイテムを見てもらおう! と私物を持参しました。 連載第5回のテーマは「本当に髪と頭皮にいいアイテムって?〜シャンプー&トリートメント編〜」です。
成分は“多い順に書いてある”…わけじゃない!?
古郡 今日は私が使っているヘアケアグッズを持ってきてみました。シャンプー、お風呂で使うトリートメント、洗い流さないトリートメントなどです。
辻 シャンプーは「ボタニスト」ですね。ドラッグストアなどでよく見ますよね。
古郡 はい。これも特にこだわりがあるわけではなく、ボリュームアップをうたっていたので買ってみて、なんとなく使い続けているものです。残量が少なすぎるところが生活感丸出しですみません(笑)。
辻 では成分を見てみますね…なるほど。早速ですけど気になる成分を見つけてしまいました。最後から2番目に書いてある「安息香酸Na」(あんそくこうさんナトリウム)です。
古郡 「気になる」というのは…?
辻 残念ながら、あまり良くない意味で少し気になってしまいました。安息香酸Naは防腐剤として使用されているのだと思いますが、けっこう刺激が強い物質ですから、その点が少々引っかかります。天然成分が主体のシャンプーで安息香酸Naが入っているケースは少ないというのが、僕の見解です。
古郡 そうなんですね〜…ショック。あ、でも書いてある順番的に、入っている量は2番目に少ないということですよね?
辻 それが、必ずしもそうではないんです。成分表記は1%以下なら順不同でいいので、アピールしたい成分は前のほうに、都合の悪いものは最後のほうに書く傾向もあります。
古 そんなトラップがあるんですか!? 知らなかった…。
ただの「香料」表記にご用心
辻 あと、一番最後に書いてある「香料」というのも避けたいところです。
古 香料って、ほぼすべてのシャンプーに入っている気がしますが、良くないんですか?
辻 単に「香料」と書いてあるものは、ほぼ合成香料です。天然香料を使っているときは「ラベンダー油」などと成分名をきちんと書くことがほとんどなので。
古 そういう傾向があるんですね。
辻 合成香料の香りって頭皮にずっと残るんですよ。それで皮脂のにおいを覆い隠してしまう。それって良いことのように思えるけど、逆効果なんです。本来は洗い残しがあったら頭皮が脂臭くなって「あ、汚れが残っているな。丁寧に洗おう」となるところを、香りでマスキングされると洗い残しに気付けずに、頭皮環境が悪化してしまいます。
古 お風呂に入っていないのを香水でごまかすような。
辻 そうそう。歯なら、歯石が溜まっているのに強いミントの歯磨き粉を使っただけで磨けた気になっているような。
古郡 例えが絶妙で(笑)。
辻 (笑)。なので、僕なら安息香酸Naと香料が入っているものは避けますね。
古郡 身近で手に入るそこまで高くない商品だとけっこう入ってしまっている気がしますが、気をつけて選んでみます。
シャンプーは “透明”を選ぶべし
古郡 ほかにシャンプー選びで気をつけたほうがいいことはありますか?
辻 あとは、僕なら液色が透明のものを選びますね。真珠みたいな色の付いたシャンプーもありますけど、あれはあまりよくありません。
古郡 スーパー銭湯なんかに置いてある業務用っぽいシャンプーはわりと真珠色をしていますね。ああいうものですか?
辻 そうです。硫酸系とかかなり強い洗浄成分を使っているシャンプーは皮脂をすごく奪うので、油を加えるんですね。すると液色が濁るので、ああいうふうに着色する場合が多いんです。
古郡 そういう理由なんですか。真珠っぽくてリッチな印象でしたが、そう聞くと微妙です。
辻 なので、まずは見た目が透明のものを選ぶ。それから安息香酸Naが入っていなくて、できれば天然香料のものを選べるといいですね。価格は少し上がってしまいますが、頭皮の健康のためには気にしてみてほしいです。
“死んだ毛”なら化学の力に頼ってもいい
古郡 次はお風呂で使うトリートメントです。これは美容師さんにおすすめされて、価格も比較的お手頃なので使っているものです。
辻 (成分を見て)これ、使うとツルツルした手触りになりませんか?
古郡 はい、けっこうツルンとまとまる感じになります。
辻 髪の毛がツルツルになるトリートメントは、頭皮には悪いんですよ。
古郡 えぇっ。
辻 で、逆に頭皮にいいトリートメントは、髪が皆さんが期待するような手触りにはならないんです。僕が作っている自然派のトリートメントも、いわゆるツルツルになるわけじゃないから悪い口コミを書かれちゃったりして(苦笑)。
古郡 そうなんですね…。トリートメントに何を求めるかによるということでしょうか。
辻 個人的には、頭皮の近くに塗るものなんだから、やさしい成分のものを使ったほうがいいとは思います。とはいえ自然派の商品では出せない手触りが欲しいという人は、絶対に頭皮にトリートメントをつけないようにしてください。古郡さんだと、つけていいのはここから下のみです。
古郡 なるほど。たしかにこの部分だけなら頭皮につかないですね。
辻 頭皮から遠い毛は、いわば“死んだ毛”なので、化学的な成分に頼ってもいいとは思うんです。髪をひとつ結びにしたときの毛束の部分は、化学的なトリートメントを使って大丈夫。
古郡 基本的には毛先につけるように意識はしていますが、急いでいるときなど頭皮につけてしまっていたかもしれません。これから気をつけます!
頭皮パックできるトリートメントは貴重
古郡 塗る位置に注意すれば、今のトリートメントをなんとか使い続けられそうでよかったです。シャンプーはどうしよう…。
辻 いろいろ言いましたが、僕は「ボタニスト」にはすごく企業努力を感じますよ。良い成分もたくさん入っていて「これだけの成分を、よくこの価格で提供できるな」と感心します。僕個人としてはどうしても気になってしまう部分があるだけで、絶対NGというほどではないですよ。
古郡 そうですか!? じゃあとりあえず今あるぶんは使い切ろうかな。そして、次は辻さんのアドバイスをもとに選んでみます。
辻 ぜひ。あとトリートメントに関して言えば、頭皮へのやさしさにこだわっている商品は「頭皮にパックして◯分おく」などと書いてあるものが多いです。あえて頭皮につけてねと。
古郡 成分だけじゃなく使用法もチェックするようにしてみます。まだほかにも見ていただきたいアイテムがあるので、次回もよろしくお願いします!
今回のまとめ
安息香酸Naと香料に注意
前者は刺激性が強く、頭皮に良くない成分。後者は強すぎる香りが頭皮のにおいを覆い隠し、結果的に頭皮環境を悪化させるリスクが。成分表示の最後のほうに記載されることが多いものの、順番は入れ替わる可能性もあるので、よくチェックを。
透明なシャンプーを選ぶのが基本
液色が真珠のような色のシャンプーは、強い洗浄成分に対して油を加え、それによって生じる濁りを隠すために着色している場合が。液色が透明の商品を選ぶのが基本。
トリートメントは頭皮につけない
「ツルツルの手触り」「なめらかな指通り」を実現するのは化学的な成分で、頭皮には良くありません。そうした仕上がりの商品を使いたいなら、頭皮には絶対につけないこと。
この取材があった日の夜、いつもの感じでインバストリートメントを使ったら、意外と頭皮についてしまっていることに気づきました。これからはちゃんと意識して、頭皮をいたわりたいと思います。
第6回「本当に髪と頭皮にいいアイテムって?〜その他ヘアケア剤編〜(仮)」は1月31日(金)に公開予定です。
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