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ヘアケアに関する疑問をプロに聞いてみた|編集長の美髪への道
からだにいいことWeb編集長の古郡(ふるこおり)が、40代からのヘアケアについてプロに聞く連載。今回は、からだにいいことアンバサダーから寄せられた髪や頭皮に関する質問について、プロにお答えいただきます!
目次
からだにいいことアンバサダーの悩みにプロが回答
これまでの連載で、白髪・薄毛・うねり対策、顔たるみを防ぐ頭皮ケア、ヘアケアアイテムの選び方と、美髪のヒントをたくさん教えてもらってきました。
それでも、髪悩みの海は広くて深い! というわけで今回は、からだにいいことアンバサダーから寄せられた髪や頭皮に関する疑問やお悩みを、監修の辻さんに相談してみます。
「湯シャン」は髪にいいって本当? ベタベタしない?
古郡 前回の予告通り、今回はからだにいいことアンバサダーからの質問にお答えいただきたいと思います。皆さん、やはり髪や頭皮への関心が高くて、悩みや質問も多く出ています。
辻 はい。よろしくお願いします。
古郡 まず1問目。「湯シャンをしてみたいですが勇気がありません。湯シャンの効果や実践法があれば知りたいです」という、41歳女性からの質問です。湯シャンの質問は他にも来ていて「毛穴が詰まらないか心配」などのお声もあります。
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辻 「湯シャン」とは洗髪料を使わずに髪を洗うことですが、結論から先に言ってしまうと、現代人にとってはかなりハードルが高いです。
古郡 私も湯シャンに興味はありつつ、絶対ベタベタになる気がする…とチャレンジできずにいましたが、やはり難しいんですね。でも「現代人にとって」というのは?
辻 江戸時代は頭を洗うのは月に数回程度だったようです。当時はシャンプーなどはありませんから、「ふのり」という海藻の一種に小麦粉を混ぜたものを洗髪剤として使っていたそうです。
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古郡 ふのり…海藻ということは、髪を生やすと言われるミネラルも豊富そうですね。ナチュラルな材料で、これ以上ないくらい髪にいい洗髪剤なのでは。
辻 そうですね。なので、江戸時代の人は現代人よりも頭皮の常在菌のバランスが健全に保たれていたのではと思います。すると自浄作用が発揮されるので、シャンプーを使わずとも頭皮を清潔にできるんです。
古郡 一方、現代人は…。
辻 シャンプーをすると常在菌の多くは洗い流されてしまうので、現代人の頭皮には常在菌が少ないと思います。一方で、頭皮が不潔でも菌の異常繁殖につながりますし、今の私たちが頭皮の常在菌を育てるのはけっこう難しいんです。そもそも常在菌を大事にするのなら、普通の水道水で髪を洗うのもNGですし。
古郡 塩素ですね。盲点でした。
辻 そうなんです。ちなみにうちの子どもたちは生まれた時から塩素を除去した水を使う生活をしていまして、ほとんど湯シャンでたまに石けんで洗うくらいですが、頭皮臭はほぼありません。昔の人のように常在菌が生きているんじゃないかな。
古郡 つまり、それくらい覚悟を決めて頭皮の常在菌を生かす暮らしをすれば湯シャンが合うようになるけれど、それができないならやめたほうがいいということでしょうか?
辻 個人的にはおすすめしないですね。湯シャンへの移行は3カ月はかかると思いますが、その間は髪も頭皮もベタベタになるし、ニオイも出ます。どうしてもやりたい場合は、ヘッドスパなどで定期的に頭皮をつまみ洗いするなどのケアが必要だと思います。
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古郡 湯シャンがハードルが高いことがよくわかりました。でも、たまに“シャンプーキャンセル界隈”じゃないですけど、シャンプーしないで頭皮を休ませたい感覚は私もあるのですが、そういうときはどうすればいいですか?
辻 湯シャンをするくらいなら「粉シャン」、粉シャンプーを使ってみてください。液体シャンプーの界面活性剤が合わない人や、おっしゃるような“頭皮の休養日”を作りたいときにおすすめです。保存料や合成香料が入っていないものを選びましょう。
セルフの白髪染めで髪や頭皮を傷めない方法は?
古郡 続いての質問は「セルフの白髪染めは髪に悪いですか?」というもの。47歳女性からです。同様の質問はたくさん来ています。美容院に頻繁に行くのが面倒、コスト的に厳しい、などのお声もあります。
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辻 この連載でも何度かお話ししていますが、頭皮に化学的な成分が付かなければ、基本は大丈夫だと考えます。そういう点では泡タイプの白髪染めは避けたほうが無難かもしれませんね。どうしても頭皮に付いてしまうので。
古郡 ただ、白髪ってすぐ伸びてきますし、一番染めたいのは根元部分ですよね。
辻 そうですよね。だから分け目の部分は多少付いてしまっても仕方ないとして、それ以外の部分は根元を避けて大ざっぱに塗ったほうが頭皮には優しいと思います。
古郡 とは言え不器用な私には、根元をうまく避けて塗ることは難しいかも…。となると、やはり美容院に行ったほうがいいですか?
辻 そうですね。プロは頭皮に付けずギリギリまで塗る技術を持っているので、仕上がりや持ちは違うはずです。あと、美容院によっては前処理剤を塗ったりして、ダメージも抑えられます。あとはリタッチと言って、すでに染まっているところは塗らずに生えてきた根元だけを塗る技術もありますね。いわゆる根元染め。
古郡 ありますね。ちょっとだけ料金が安いメニュー。
辻 ご自宅では根元だけ染めるなんて、まずできないですよね。するとすでに染まっている部分にも薬が付いてしまってダメージになります。基本的にはプロ仕様の商材のほうが髪が傷みづらく作られているので、その点でもサロンのほうがダメージは減らせますね。
古郡 やっぱりプロに頼むことには相応の意味があるんですね。
辻 うん、そこはやはり違いますよ。ポイントは、美容院で白髪染めをオーダーするときに「頭皮には塗らないでください」と言うことです。「ゼロテク」という技術なんですが、年配の美容師さんなどには「マニキュアみたいに塗ってください」と言うと話が通じやすいかもしれません。
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古郡 あとは、白髪が気になってきたけど美容院に行くほどの量じゃないかな…と迷っている人も多いです。
辻 僕はハイライトを入れているんですが、こうやって明るい色を入れておくと白髪が出てきても目立ちにくくなります。すごく大量に生えてきたら全体染めになりますが、チラホラ程度ならごまかせますよ。
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古郡 おしゃれなカラーに見えて白髪隠しになるなんて、いいですね!
高いヘアブラシって本当にいいの? 機能は価格に比例する?
古郡 次の質問は46歳女性からで「ブラシの値段はピンキリですが、どれがいいのでしょうか? 美容院でおすすめされるブラシは1万円以上するのでまだ購入できていません」というもの。ヘアブラシって高いものは高いですが、本当にいいんですかね?
辻 高いものはやはりそれなりに品質がいいし、品質のよさは髪や頭皮に影響するはずです。植毛台座部分にクッション性がある「クッションブラシ」が、頭皮も傷つかないしいいと思いますよ。髪の根元を立たせるときにも、頭皮にちょうどいい圧がかかって立ち上げやすいのでおすすめです。有名なメーカーだとデンマンで、3,000〜5,000円くらいで売っています。
古郡 あの…ちなみに私は、毛先の丸い部分が取れてきちゃってるクッションブラシを使い続けているんですが、そういうものは…。
辻 論外ですね(苦笑)。その状態だと頭皮に良くないので、取り替えたほうがいいです。
古郡 そうですよね(反省)。
辻 あとはクッションブラシではありませんが、とかしやすさという点では「ニューウェイ」というブランドもいいですよ。どうぞ、使ってみてください。
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古郡 あれっ、なんだこれ! ものすごくとかしやすいし、ツヤッツヤになります! 見た目は普通のプラスチックっぽいのに不思議。
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辻 たしかアルガンオイルとトルマリンが配合されていて、髪がなめらかになるんですよ。寝グセもまとまりやすくなります。僕はこれをスタイリングの仕上げに使うのが好きです。価格は5,000円前後かな。
古郡 激安ではないけれど、毎日使うと考えれば高くはないかも。
辻 女性の長い髪は5年とか7年とか、ずっと生え続けているわけです。それが本来のタイミングではない時に、ブラッシングで切れたり抜けたりしてはもったいないですよね。だから多少値段はしても、とかしやすく絡みにくいブラシを選ぶといいと思います。
ヘッドスパって何をするの? どんな時に行くべき?
古郡 最後の質問になりますが、「ヘッドスパに興味があり、美容院で追加予約しようか迷っています。どんなことをするのか教えてください」。41歳女性からです。
辻 ヘッドスパの良さは、髪にいいものを塗りながらマッサージできる点にあると思っています。
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古郡 マッサージがポイントなんですね。
辻 酸化した皮脂などの老廃物を取り去るアイテムを塗りながら、マッサージで頭のコリも取る。僕たちプロは頭皮をつまんで毛穴の中の汚れまで絞り出すので、自分では取り切れない汚れが取れます。マッサージでは顔のリフトアップもするので、1回で頭皮の状態が劇的に変わるし、顔つきまで変化しますよ。これがヘッドスパの強みだと思います。
古郡 ただ、ヘッドスパ未経験者ってけっこう多いと思います。私も過去に1度、美容院で勧められてやったきりですし。その時はスッキリしましたが、次回もやろうというほどではなかったような…。いいサロンはどのように選べばいいですか?
辻 うーん、こういうことを言うと美容師さんに失礼かもしれませんが、美容院でヘッドスパを担当するのはアシスタントさんが多いですよね。会社からヘッドスパ講習を受けるように言われて何回か受講して、それをサロンに持ち帰ってメンバーに教えて…という感じの美容院は多い気がします。
古郡 全部の美容院がそうではないかもしれませんが、そういうケースは多そうですね。
辻 だから、できれば美容院じゃなくてヘッドスパ専門店に行ったほうが本来の良さを感じられるんじゃないかと思っています。
古郡 たしかに、専門店とでは全然違いそうです。
辻 もちろん美容師さんでもすごくセンスがあって、ちょっと習っただけでいい施術ができる人もいます。ただ、理論をきちんと理解していなければ、「なぜヘッドスパで目が大きくなるんだろう?」「なぜ体調まで良くなるんだろう?」と疑問が出てくる。そういう人が僕のセミナーに来てくれることがあって、解剖学の観点から作用機序を説明すると納得してくれます。
古郡 たまたまヘッドスパの腕のいい美容師さんに当たればいいけど…。
辻 とは言え質問者さんは、まず美容院のメニューを追加しようと考えているんですよね。最初はそれでもいいと思います。僕のサロンのお客さまでも、来店動機が「美容院のヘッドスパが気持ちよかったから」という方はすごく多いんですよ。
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古郡 なるほど、美容院を入口にしてヘッドスパの世界に入ってくるお客さまが多いんですね。
辻 はい。なので、いろいろ言ってしまいましたが、美容院はヘッドスパのハードルを下げて身近に感じさせてくれるありがたい存在です。まずは美容院でヘッドスパを体験してみて、気に入ったら自分に合う専門サロンを選べばいいのではないでしょうか。
今回のまとめ
「湯シャン」はおすすめしない
湯シャンが向いているのは、頭皮に常在菌がしっかり生きていて自浄作用がある人。シャンプーを使っている多くの現代人は常在菌が少なくバランスも乱れているため、お湯だけでは皮脂や汚れが落としきれず不潔に。かなり不快な状態が長く続くことになるため、安易に挑戦しないのが吉。頭皮を休ませる意味では「粉シャン」がおすすめ。
白髪はサロンで染めてもらうとGOOD
セルフカラーでは刺激の強い白髪染めが頭皮に付いてしまう、すでに染まってる部分を繰り返し染めてダメージが蓄積するといったリスクが。プロ仕様の商材のほうが髪が傷みづらい処方になっていることもあり、髪と頭皮のためには美容院で染めるのが無難。
“ちょっと高いブラシ”はそれなりにいい
「価格はそれなりに品質につながっている」と辻さん。とかしやすさと絡まりにくさを重視しつつ、ブラッシングはクッションブラシで、スタイリングにはツヤ出しタイプのブラシを使うと◎。
ヘッドスパ専門店の施術は1度で劇的に変わる
髪にいいものも与えながら髪と頭皮の汚れを徹底的にオフできるのがポイント。初回は美容院で気軽に体験するのもありですが、通うなら専門知識を持つプロがいるサロンが断然おすすめ。1度の施術でBefore&Afterが驚くほど変わる人も少なくないそうです。
かなり本音で詳しくお答えいただいたQ&A、いかがでしたか?
個人的には湯シャンがそれほどまでに大変なものだとは知らず、衝撃でした。憧れがありましたが、まだまだ覚悟が足りないので、基本はなるべく頭皮にいい液体シャンプーを使いつつ粉シャンも備えておこうと思います。
次回は最終回!「編集長の美髪と健やか頭皮のゆくえ(仮)」は2月28日(金)に公開予定です。
[ 監修者 ]