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名医図鑑_佐藤先生

感染症専門医の存在が地域医療の安心を支える|名医図鑑#2

東京・五反田にある「KARADA内科クリニック五反田」は、日本では珍しい、感染症専門医が在籍する総合内科クリニックです。総合内科医・感染症専門医として地域医療に携わる院長の佐藤昭裕先生に、話を伺いしました。(取材日 2024年11月25日)

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パンデミック下で大きな役割を果たす

日本感染症学会専門医・指導医、日本内科学会認定医。東京医科大学卒業後、総合診療や離島医療に携わった後、東京医科大学病院感染制御部・感染症科助教、東京医科大学茨城医療センター感染制御部部長、感染症科科長講師を経て、2019年KARADA内科クリニック開設。感染症の専門的な知識を持ち、地域医療に携わる。

感染症専門医を目指した理由を教えてください

もともと救急救命医になりたいと医師を志したんですが、研修医の時にICU(集中治療室)で多くの敗血症患者さんを診たことがきっかけで、その考えが変わりました。

敗血症は、細菌感染によって臓器に障害が起きている状態。致死率の高い病気である一方、早期診断を的確に行い、抗生物質を適切に処方すれば、みるみる良くなります。ただ、抗生物質の選択には病気を治すのとは別の知識や勉強が必要で、苦手とする医師が多いんです。大学で感染症のカリキュラムがあるわけではないので、膨大な細菌や抗菌薬について自発的に学ばなければなりません。自分がこれを極めれば、多くの患者さんの命を救うことができるのではと思いました。

クリニックの開設はコロナ禍直前だったそうですね

2020年1月に、中国で新型コロナウイルス感染症が発生したと知った時は、大したことにはならないだろうと思っていました。それが、あっという間に日本中に広がって。でも当院はもともと感染症の患者さんに来院いただくために、普通の患者さん用と感染症患者さん用に待合室を2つ作るなど対策をしていましたので、発熱した患者さんの受け入れも非常にスムーズでした。今、コロナは落ち着いていますが、鳥インフルエンザウイルスなど、次なるパンデミックがいつ起きてもおかしくない状況ですので、感染症専門医のいるクリニックが地域医療において果たす役割は重要だと思っています。

感染症専門医も驚いた新型コロナの特殊性

コロナ禍ではどのような点に苦労しましたか?

感染症専門医は“ドクターズドクター(医師の担当医)”として、他診療科の医師が診断や治療について相談をする役割を担うといわれます。そんな私にとっても、新型コロナウイルスは想定外のウイルスでした。

新型コロナウイルスの場合、最初はくしゃみなどによる飛沫感染と、手指からの接触感染のみで、空気感染はないといわれていました。それがのちに空気感染することがわかったので、対策が大きく変わったんです。おそらく、これまでインフルエンザやマイコプラズマでも空気感染はあったのかもしれませんが、新型コロナウイルスは世界中で研究が進んだ結果、空気感染することが判明したのだと思います。アメリカのガイドラインでは現在、飛沫感染という概念をなくすことが検討されていて、今後は空気感染の強弱として扱われることになるようです。

いまだに後遺症に悩まされている人もいます

そうですね。さらに今後、大きな社会問題になる可能性があるのは、新型コロナウイルス感染後の認知機能低下です。重症化するとIQが10ポイントも低下するという論文が出ていて、これは高齢者に限らず若い人でも起こります。感染症としての扱いが5類になったからといって、ウイルスの性質が変わったわけではありませんから、風邪やインフルエンザとは違うものと認識し、ワクチン接種もしっかり行ってもらいたいですね。

ワクチン接種をめぐって賛否両論がありました

ワクチンについては、最終的には自己判断にゆだねられるものの、情報を得る際にはメディアでの取り上げ方に注意を払ってほしいですね。

ワクチン賛成論と反対論が両方取り上げられていると、医学界が二分されているように思いますが、それは違います。臨床を行う医師でワクチンに反対している人はほぼいませんし、論文の数も圧倒的な差がある。99:1ぐらいの意見が1:1に見えていることを理解する必要があります。

専門家が感染症にかからない理由

感染症を予防するには?

私自身は新型コロナウイルスも含めて、一度も感染症に感染したことがありません。ウイルスや細菌の感染経路がわかっているので、マスク、ゴーグルによる防御や手指衛生(手洗いや手指の消毒)のタイミングを正しく行えば、感染することはないんですよ。

基本的に、みなさんが新型コロナウルスの感染対策として行ってきたことは、あらゆる感染症の予防になります。つまり、マスク、手指衛生、換気、人込みに行かない、ですね。コロナに関して言えば、思ったよりも接触感染が少なく、空気感染が多いので、周囲でコロナが流行してきたと思ったら、まずはマスクをつけましょう。冬は感染症の流行するシーズン。睡眠や栄養を十分にとりながら、感染症対策を心がけてください。

KARADA内科クリニック五反田
東京都品川区西五反田1-2-8 FPG links GOTANDA 10F
アクセス:JR浅草線・東急池上線「五反田駅」より徒歩すぐ
TEL:03-3495-0192
診療時間:平日10:00~13:00、15:00~19:00 
土曜・日曜9:00~12:00、13:30~6:30
https://karada-naika.com/

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