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秋の「メンタル不調」セルフケア|田中友也さん 季節の養生法

神戸にある漢方相談薬局「CoCo美漢方」田中友也さんが、“季節の養生法”をお届けする新連載がスタート。今月のお悩みは「秋のメンタル不調」。さっそく食養生やツボで心のケアを!

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東洋医学的 秋の「メンタル不調」の原因は?

気温が下がり、日が落ちるのが早くなるこの時期。秋は、なんとなくもの悲しい気持ちになったり、心がさみしくなったりしませんか? 東洋医学からみても、秋はメンタル不調が起こりやすい季節。「気持ちが落ち込みがち」「心がバテ気味…」、そんなお悩みも増えてきます。

(1) 秋は「心の乾燥」の季節

秋は「心の乾燥」の季節

東洋医学では、秋は「乾燥」の季節にあたります。肌や内臓もそうですが、人によって起こりやすいのが「心の乾燥」。

東洋医学で「百合病」(ひゃくごうびょう)といい、ソワソワする、眠たいのに眠れない、動きたいのに動けない、寒気や熱さがはっきりしない、独り言を言う、口が苦いなどの様々な不調が、心の乾燥によって現れます。女性は肌の乾燥には敏感ですが、実は見えないところで心も乾いているのです。

(2) 陰と陽の入れ替わりでメンタルが不安定に

陰と陽の入れ替わりでメンタルが不安定に

東洋医学では、人間の体や自然界はすべて「陰陽(いんよう)」で成り立っているという考え方があり、陰陽のバランスが整っていることが健康であるといわれます。

太陽のパワーが強い夏は「陽」、日照時間が減り気温が低くなる冬は「陰」にあたります。秋はこの陰陽が入れ替わる、「陰陽転化(いんようてんか)」の時期。そのため心身共に変化が起こりやすく、そもそも不安定な季節です。

春も同じく陰陽転化にあたりますが、草花などの生命が芽吹く春と比べ、秋は青く茂っていた木々が色づいて散っていくため、「落ちる」「枯れる」様子がもの悲しい気持ちにさせます。そのためますますメンタルが不安定に。

(3)「肺」が弱くなり、心身に影響

「五臓六腑」という言葉の通り、漢方では体を「肝」「心」「脾」「肺」「腎」という「五臓」に分けて考えます。その五臓の中でも秋は特に、乾燥に弱い「肺」が弱りやすい季節。乾いた空気が体内に入り込むことで、心はもちろん体の不調も引き起こします。肺が弱くなると、呼吸も浅くなり、自律神経にも影響するため、メンタル不調を感じやすくなります。

秋の「メンタル不調」に! 自分でできる養生のコツ

「メンタルが不安定」「心がお疲れ気味」。そんな人におすすめの養生法をご紹介します。どうしよう…とあまり悩みすぎず、まずはこれからご紹介する東洋医学的セルフケアを試してみてください。

(1) 赤い物と黒いものを食べて“血”を補う

東洋医学では「気・血・水(※)」という体を巡る3つの要素のバランスから健康状態をチェックします。その中でもメンタル不調改善に必要なのは「血」。「血」が不足するとメンタルが不安定になりやすいと考えられています。

※気(キ)・血(ケツ)・水(スイ)と読み、「気=エネルギー」「血=血液、血流」「水=水分」を表しています。

「血」を補うためには、赤い食べ物と、黒い食べ物を積極的に摂りましょう。

赤い食べ物…なつめ、クコの実、あずき、ぶどう、ベリー類、いちご など

なつめやクコの実は、そのまま食べてもいいですし、スープや鍋などの料理に使うのもおすすめです。赤い食べ物ではないですが、「血」を補うためには「卵」も食べましょう。

赤い物を食べて“血”を補う

黒い食べ物…黒ごま、ひじき、きくらげ(乾燥・生どちらでもOK)、黒豆、海苔、ごぼう、しいたけ など

黒い物を食べて“血”を補う

赤い食べ物、黒い食べ物以外に、鉄分を多く含むホウレンソウ、小松菜、レバーなどもいいでしょう。

(2)散歩×深呼吸で「肺」を使う

肺は使わないとどんどん弱くなりますが、しっかり使うことで強化することができます。肺を一番動かせる方法と言えば呼吸。1日に何回か深呼吸をして空気を送り込み、肺を使ってあげましょう。

おすすめしたいのが、ご近所の散歩。遠出する必要はありません。近くの公園や神社など、自然を感じられる場所を歩いて有酸素運動を取り入れると呼吸が深くなり、新鮮な空気を取り込むことができます。日照時間が減ってくるこの時期。外に出て日差しにあたることは心の安定にもつながります。

(3)早寝早起きで元気を補給

食養生も大切ですが、それ以上にすぐできるのが早寝早起きをすることです。当たり前のようですが、メンタル不調にはこれが大切。

特に冬に向かう秋は、「陰陽」でいう「陽」が不足してきます。太陽が出ている日中の時間帯は起きて、体にしっかり「陽」を補い、日が沈んで「陰」が深まる夜には早く布団に入る。これだけでもモヤモヤした心が少し晴れてきますよ。

(4)メンタル不調を和らげるツボ「膻中」と「労宮」

メンタル不調に効果的なツボを2つご紹介しましょう。

膻中(だんちゅう)

ツボの場所:両方の乳首と乳首の間、胸の真ん中

檀中

「膻中(だんちゅう)」は、緊張や気分の不安、落込みなどに効果があると言われます。グッと押すと痛い場合もあるので、両手をこすり合わせて温めて、優しく膻中を温めてあげましょう。少しホッとすると思いますよ。自分で温めてもいいですが、家族やパトーナーなど人からやってもらうと、より心が落ち着くのでお願いしてみましょう。

労宮(ろうきゅう)

ツボの場所:両方の手のひらの中央、手を握ったときに人差し指と中指が当たるあたりで、押すとじんわりイタ気持ち良い場所

労宮

「労宮(ろうきゅう)」はリラックスやストレス軽減、緊張をほぐしたりする効果があるといわれます。緊張したときに手のひらに「の」の字を書いて飲むと落ち着くといわれるのは、このツボを刺激しているから、ともいわれています。

反対の手の親指でイタ気持ち良い強さで5秒押して離すを5セット繰り返しましょう。体も心もホッとリラックスできるはずですよ。

今月の養生ポイント:秋はできなかったことを悔やまない

東洋医学の古い本には「秋はできなかったことを悔やまずに、心を穏やかに過ごそう」といった内容が書かれています。何千年も前から、先人たちは「秋は心を整える季節」ということを、知っていたのかもしれません。

メンタル不調が起こりやすい時期だからこそ、「夏にあれこれできなかったな…」「やろうと思っていたことが終わっていない」などと悔やまずに、ゆったり自然の流れに身を任せて過ごしましょう。秋は寒い冬に備えるための時期でもあります。しっかり養生して来る冬を乗り越える心と体の準備を!

イラスト/植松しんこ

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