心地よく暮らす “伝説の家政婦” タサン志麻さんのお金をかけない家づくり
「予約がとれない伝説の家政婦」として話題のタサン志麻さん一家が暮らすのは、東京下町の築60年、家賃5万7千円の古民家。夫婦でマイペースにDIYして創り上げた、志麻さんのお宅を取材しました。
目次
無理をしないで、“楽しく住める家”づくり
「以前は都心の賃貸マンションで、原状回復が基本。壁にピンも刺せない状況が窮屈でした。自分たちで好きなように手を加えるほうが気持ちよく住めると考え、DIYができる家を探しました」と話すタサン志麻さん。そんなときに出合ったのが、築60年の家でした。
「かなり古びていましたが、私はもともと古い家が好き。床や玄関の雰囲気、キッチンの緑のパネルなどがかわいくて、一目で気に入り、住むことに決めました」
まずはボロボロだった畳を全部はずし、むきだしの床にじゅうたんを敷いて生活をスタート。休日に床板や壁紙を張って家を作っていきました。4年経った今も、まだ完成ではなく、今後も家族の変化に合わせて変えていく予定だそう。
「家に手を加えるほど愛着がわき、家で過ごす時間が楽しくなります。自分たちの家ですから、誰に見せるわけでも、自慢するわけでもなく、“家族が心地いい”ことが大切。心地よさは人それぞれ。私たちはスタイリッシュなマンションより古い家のほうが楽しく暮らせますが、古い家が苦手な人も。無理をせず、住んでいて楽しいと思える家を作っていきたいですね」
DIYが難しい人は、家具の位置を変えるだけでも住み心地は変わるといいます。
「家を心地よくする方法は、意外とたくさんあります。まずは家族が楽しいと思えることを、探してみてはいかがでしょうか」
志麻さんが大切にする、家づくり3つのPOINT
猫が壁で爪を研ぐのは当たり前。また、壁に絵を描きたいという子どもの好奇心も大事。自分で壁紙を張れば、また張り直せばいいのでキズや汚れにイライラしません。今も猫が剥がした壁紙は、そのままに。
「かごなど自然素材で長く使え、用途が多様なものが好き」と言う志麻さん。特にかごはキッチン道具のほか、オムツやおもちゃ、タオルを入れるなど、いろいろな場面で使うことができます。
時には壁のペンキがはみ出したり、サイズを測り間違えて床に隙間ができたりすることも。でも、そんな部分は見るたびに微笑ましくなり、笑い話に。家で過ごす時間がより楽しくなります。
こんな風に変わりました!
畳をフローリングに替え、家族が集うダイニングに
剥がれていた壁紙を張り替え、畳だった床をフローリングに。テーブルを置いてダイニングに仕上げました。以前は部屋がふすまで仕切られていましたが、すりガラスの引き戸を取り付けて和モダンな印象に。
古民家の趣を残しつつ、機能的なキッチンにDIY
雨漏りで腐っていた壁や床、窓を修理。シンクや調理台はガタついていたので、機能的でシンプルなデザインの業務用キッチンをネットで購入して設置しました。味わいのある床やタイル風の緑のパネルは、そのまま残しています。
ソファをクッションにして、より心地よく
以前はソファを置いていましたが、今は大きめのビーズクッションに。ソファより簡単に動かせるので部屋が広々。子どもたちはアスレチック感覚でよじ登ります。
調味料を並べる棚を壁に設置
キッチンの壁には、よく使う調味料が置けるよう、棚を取り付けました。料理をしているときも、手を伸ばせば、すぐに取り出せるので便利です。
志麻さん直伝 ♪ 簡単フレンチ「大根と牛肉のブレゼ」
志麻さんの近著からおすすめレシピをご紹介。ブレゼ(蒸し煮)は少ない水分でじくじく煮てうまみを凝縮する調理法で、水分が多い野菜に向いています。大切なのは、しっかりふたをして煮ること。そして加える水分が少ないぶん、火加減が大切です。
鍋一つで煮込んだあと、 鍋ごとテーブルに出せる手間なし料理です。調理中も手が離せるので、家でくつろぎたい日にぴったり!
材料(2人分)
牛こま切れ肉……250g
大根(葉つき)…1/2本
玉ねぎ………小1個
白ワイン…… 100ml
コンソメ(キューブ)… 1個
粒マスタード… 大さじ1~2
サラダ油…… 大さじ1
塩、こしょう…各適量
タイム、ローリエ(あれば)…各適量
作り方
(1)玉ねぎは繊維と直角に幅1cmの半月切りにする。鍋にサラダ油をひき、牛肉、玉ねぎを入れる。塩をふって中火で焼き付けるように炒める。
(2)大根を厚さ1cmの半月切りにし、鍋に加える。白ワイン、コンソメを加えてふたをし、中火で煮る。沸騰したら、あくを取って火を弱め、タイム、ローリエを加えて、ふたをして煮る。この間に大根の葉をみじん切りにしておく。
(3)大根にすっと箸が通るくらいになったら(途中水分が足りなくなったら少しだけ水を足す)、粒マスタード、大根の葉を加えて混ぜる。味を見て足りなければ、塩を足し、こしょうをふる。
撮影/神尾典行
(からだにいいこと2021年2月号より)