夏の体調管理は湿度対策がポイント|からだにいい天気
夏らしさがいまいち感じられないまま7月も半ばになりました。 この天候はいつまで続くのか?今夏の天気を気象予報士の岡田みはるさんに聞きます。
“ダラダラ梅雨”が夏の始まりを遅らせる?
昨夏は記録的な猛暑でしたが、今年はどのような夏になるでしょうか。
夏の天候を占う時に、梅雨入りの仕方が一つの参考になります。今年は西日本で梅雨入りが大幅に遅れ、最遅記録を更新しました。梅雨前線は、夏の主役である太平洋高気圧に押し上げられる形で西日本に北上します。しかし今年は、昨秋から続くエルニーニョの影響か、この太平洋高気圧の張り出しがいまいち弱いのです。
日本列島の夏は、太平洋高気圧にすっぽり覆われて初めて夏らしい暑さになります。しかし、太平洋高気圧の張り出しが弱い年は梅雨明けがはっきりしないまま、雨がちな夏のスタートになる傾向があります。
夏は本来、晴れの日が続き、日々の天気変化で不調を感じやすい人も比較的快適に過ごせる季節。しかし、今夏は残念ながらちょっと不順な天候になり、スッキリしない日が多くなるかもしれません。夏特有の進路の定まらない台風が接近しやすくなることも考えられます。
インド洋の出来事で 日本が猛暑になる可能性も
気温はどうでしょうか。エルニーニョの夏は天気がぐずつき、例年より涼しくなるのがセオリーです。ただ、ここ数年、地球全体の大気が暖まっていることと、今回は通常のエルニーニョとやや様相が異なることから、夏らしい暑さになる日もそれなりにあると思っています。
また、遠くから日本の気象に影響をもたらす現象としては、エルニーニョの他に「ダイポールモード」にも注目しています。耳慣れない言葉ですが、インド洋西部の海水温が高くなる現象。この夏の間に発生・発達すれば、日本付近にも影響が及び、一転して猛暑になる懸念が。
不順か猛暑か。夏を通してまだ不確実性をはらむ今夏の天候ですが、まずは雨がちな夏のスタートを快適に過ごせるように湿気対策を考えて。
Keyword 「ダイポールモード」とは?
インド洋の海水温が西部で高く東部で低くなる現象を「正のダイポールモード現象」(東西が逆の
場合は「負のダイポールモード現象」)と言う。
正のダイポールモードが発達すると地中海沿岸の国々や日本を含む東アジアで猛暑になる。昨夏の記録的な暑さの一因とも指摘されている。
熱中症予防には 湿度管理を忘れずに
ムシムシジメジメは不快でイヤですよね。湿度が高くなると体の表面から汗が蒸発しにくくなってしまい、同じ気温でも熱中症の危険性が高まります。環境省の熱中症予防情報サイトでは、湿度も加味して計算された暑さ指数(WBGT)が確認できますので、目安に活用を。
環境省熱中症予防情報サイト
http://www.wbgt.env.go.jp/sp/
夏の始まりは、麻や綿など天然の繊維を使った風通しのいいデザインの服で過ごすのはいかが。湿気対策で、暑さ疲れもしにくくなりますよ。
室内でも熱中症対策を欠かさずに
体の表面から汗を蒸発させて熱中症予防を。室内の温度や湿度が高くなりすぎた場合はエアコンも活用して。
参考:気象庁「エルニーニョ監視速報」(6月10日発表)、「1か月予報」(6月20日発表)、「3か月予報」(6月25日発表)、オーストラリア気象局(BOM)ENSO Wrap-up IOD outlooks (6月8日発表)、JAMSTEC インド洋ダイポール・インド洋ダイポール東極 季節予測(2019年6月)
イラスト/中村加代子
(からだにいいこと2019年9月号より)
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