胃の不調・不快感に! 「胃腸」が元気になる足つぼ4選
ストレスや心配事があると、胃が痛くなったり、胃もたれしたり…。そんな胃の不調におすすめなのが、足つぼ。つぼ押しで、気になるムカムカやモヤモヤをスッキリさせましょう。
目次
目に見えないストレスが胃の不調・不快感に
現代人なら、誰でも日頃から感じているストレス。仕事や家事でイライラしたり心配事が増えたりすると、ダメージを受けるのが胃です。食べ過ぎや飲み過ぎによる場合もありますが、胃痛やムカつき、胃もたれ、胃酸の逆流といったさまざまな胃の不調は、ストレスが大きく関係しています。
東洋医学でも、胃の不調はメンタルが大きく影響していると言われています。ストレスによって胃酸が強くなると、そのせいで胃に穴があくこともあります。
胃とメンタルの関係を表す「腑に落ちない」という慣用句があります。この「腑」とは胃のことを指しています。「自分の中で納得がすることができない」という意味を、胃(腑)で消化できないという表現に例えているのです。
それくらい人の気持ちは、胃にダイレクトに反映されます。何かしらストレスを抱えている多くの現代人は、自覚がなくても胃に不調が現れている人がたくさんいるでしょう。胃を健康に保つためには、食べ過ぎないといった食事面も大切ですが、何よりも、ストレスを溜めないこと、溜まったら上手に発散することが重要です。
足つぼは、なぜ胃の不調に効果的なの?
東洋医学では、人間の体に「経絡(けいらく)」というエネルギーの通り道が流れていると考えられています。経絡は内臓とつながっていて、生命エネルギーの「気」や、気を運んだり体のすみずみまでうるおいを与える「血(けつ)」が通っています。つぼによる健康効果は、WHO(世界保健機関)にも認められ、これらの経絡に沿って361個のつぼが点在しています。
つぼは、体の中で不調やトラブルが起こっている場所を教えてくれます。体の中は、宇宙と同じように気の流れや水、鉄があると考えられています。体の不調が起こるということは、それらの流れが滞っているということ。そんなときにつぼ押しをすると、経絡に刺激が伝わり、気や血、水の巡りが改善。体が本来の元気を取り戻し、不調が現れている臓腑や組織が自然と回復していきます。
このように、胃の不快感を感じるときは、胃に働きかける足つぼを刺激することで、不調を和らげることができます。
足つぼを押すときの5ポイント
つぼは全身に点在していますが、足つぼは背中などの背面に比べて手が届きやすいため、自分自身でケアしやすいのが魅力です。ここからは、足つぼを上手に刺激するためのコツを5つご紹介します。
【1】押す角度はつぼに対して垂直に
足つぼを押すときは、つぼに対して指を垂直に。斜めから押したり、押しながらグイグイ揺らしたりするのはNGです。指のハラの真ん中をつぼに当てて、グイッと押し込んでください。
力加減は、痛気持ちいいくらいを目安に。つぼ押しは体をリラックスさせるものですが、押したときに強い痛みを感じると、かえって筋肉が緊張してしまい効果が出にくくなります。体をほぐすことができなくなるので、「痛い!」と不快に感じるときはやめましょう。
また、つぼ押しをするときは、器具を使わず、自分の指で押すことがポイント。「気」は自分の指からでないと出せないもの。自分自身の気は、体の巡りを良くしてくれるので、指でつぼを押すことに意味があります。道具を用意しなくても、自分の手さえあればケアできるのがつぼ押しです。
【2】3~5秒くらい「押して離す」を繰り返す
つぼ押しは1~2分の間に、押して離すのをゆっくり繰り返しましょう。押すときは、息を吐きながら、3~5秒くらい深く力を押し込むイメージで。息を吐くと関節の力が自然と抜けるため、つぼが入りやすくなります。
初めはつぼの位置が分かりづらいかもしれませんが、何回も同じつぼを押していくうちに、「気持ちいい」と感じる場所が見つかり、つぼを上手くとらえられるようになります。
【3】就寝前のつぼ押しがおすすめ
足つぼを押すのは、おやすみ前がベスト。睡眠は、自然回復力を高める大切な時間。その前に、つぼ押しをすることで体の回復をさらに助けてくれます。また、睡眠の質を上げることもできます。
【4】体調が悪いときはやめる
体調が悪いときは、つぼ押しをしないでください。東洋医学は、自然には逆らわないというのが基本的な考え方。元気のないときは何もせずにただゆっくりと休みましょう。また、妊婦中もつぼ押しはやめておきましょう。
【5】足つぼは押すだけでなく、温めてもOK
指で押す他に、温めてもつぼを刺激することができます。冷えが気になる人は、足つぼをカイロや貼るお灸で温めるとよいでしょう。体を温めると、リラックス効果もアップしますよ。
胃を元気にするおすすめの足つぼ4選
ここからは、胃の不調や不快感におすすめの足つぼ4つをご紹介します。自分の手で押せる足のつぼなので、ぜひ押してみてください。
【1】胃の不調に効く代表的な足つぼ「足の三里」
「足の三里」は、胃に効く代表的な足つぼです。「吐腹三里(とふくさんり)」と言って、「胃を含めたお腹の調子には三里」と言われるくらい定番中の定番です。
ツボの場所:ひざの皿の下にある外側のくぼみから、親指3本分下にあります。
押し方:椅子に座るか、床の上で横座りをします。つぼに中指を当てて、垂直に押します。
【2】慢性的な胃の不調に「豊隆(ほうりゅう)」
「豊隆(ほうりゅう)」は、慢性的な不調に効く「絡穴(らくけつ)」というつぼです。いつも胃のムカつきなどの不快感を感じている人は、このつぼを押してみてください。
ツボの場所:「足の三里」から、親指3本分下にあります。
押し方:椅子に座るか、床の上で横座りをします。つぼに中指を当てて、垂直に押します。
【3】胃の経絡の中でトップの足つぼ「衝陽(しょうよう)」
「衝陽(しょうよう)」は、「原穴(げんけつ)」と呼ばれ、胃の経絡「胃経」の中で基本となるつぼ。気が多く集まっているため、ここを押すことで胃の自然治癒力を高めることができます。
ツボの場所:足の甲にあるつぼ。人差し指と中指の骨の間を足首の方向に辿っていくと見つかる、脈を感じる場所。
押し方:片ひざを立てて座り、人差し指で真上からつぼを押します。
【4】急な胃の痛みや胃もたれに「梁丘(りょうきゅう)」
「梁丘(りょうきゅう)」は、「郄穴(げきけつ)」と呼ばれるつぼで、急な不調を和らげます。緊張で胃がキリキリ痛むときや、食べ過ぎて胃がムカムカするなど急に現れた不調に、ぜひこのつぼを試してみましょう。
ツボの場所:ひざの皿の外側にある骨の出っ張りから、親指2本分上にあるくぼみです。
押し方:椅子に座って、中指を垂直に立てて、つぼを押します。
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胃の元気に一番大切なのはストレスオフ
胃は腸と並んでストレスに弱い臓器です。そのため、日ごろからストレスを溜めないようにすることで不調を予防できます。
例えば、ゆっくりお風呂に入ったり、映画を見たり、本を読んだり、自分の好きなことをしてリフレッシュする時間を持ちましょう。また、胃に負担をかける食べ過ぎや飲み過ぎも禁物です。
胃の調子が悪いと、おいしい食事が楽しめなかったり、気分が沈んでどんよりしたり、生活に影響が出てしまいます。そんな不調を感じたら、つぼ押しを試してみてくださいね!
文/廣瀬茉理 イラスト/中村加代子