1. Top
  2. >元気になる
  3. >体の健康
  4. >エコノミークラス症候群とは?どこでもできる簡単予防マッサージ

エコノミークラス症候群とは?どこでもできる簡単予防マッサージ

「エコノミークラス症候群」と聞くと、飛行機の中で起こる病気と考える人も多いのではないでしょうか。実は、災害による避難時やデスクワークでも起こるリスクがあるのです。今回は、エコノミークラス症候群の予防法やマッサージ法を紹介します。

この記事をシェアする

災害時によく耳にする「エコノミークラス症候群」とは?

 (35829)

飛行機に乗るときや、災害時によく耳にする「エコノミークラス症候群」。

そもそもエコノミークラス症候群とはどんな病気なのか、なぜ起こるのかをご説明します。

長い間体を動かさずにいると、血液のめぐりが悪くなり、末端から血液を心臓に戻す血管(静脈)に、血の塊(血栓)ができます。この症状を「深部静脈血栓症」といいます。

静脈でできた血栓が末端から移動し、肺に詰まるとエコノミークラス症候群(肺塞栓血栓症)になります。

飛行機での長時間の移動や、災害時に狭い車の中で避難するなど、ずっと同じ姿勢でいると、体の血液が滞りエコノミークラス症候群のリスクが高まるといわれています。

エコノミークラス症候群の症状

エコノミークラス症候群の症状は

・ひざから足までが片足だけむくむ
・ひざから足までがひどく腫れてきて、痛みが出てくる
・呼吸が苦しくなる

などがあらわれます。

足のむくみや腫れの経過には個人差があり、血栓ができてから1週間経って症状が出る人もいます。

長い間同じ姿勢をとったあとに、少しでも両足のむくみに左右差があると感じたら、すぐに医療機関を受診してください。

エコノミークラス症候群になる原因は?

エコノミークラス症候群は、足に血栓ができることで生じる病気です。血栓ができる理由(1)疾患や内服薬などが原因で血液がドロドロして、血流が悪くなる
(2)筋肉が収縮することで、血液を体中に巡らせている。筋肉を動かさないことで、血液が滞る
(3)長時間同じ姿勢でいることで、血管が圧迫されて血液のめぐりが悪くなる
(4)ガン腫瘍が血管に詰まってしまう
(5)血管が損傷していると、止血の役割を持つ血球(血小板)が血液をドロドロに。そのため、血流が悪くなる

また、災害のとき、車中避難で身動きが取りづらかったり、避難所でトイレに行くのがめんどくさいと感じ、水分を摂らないといったことも多くあります。これが発症の原因になることも。

他にも、避難中に緊張状態になり、交感神経が優位になることで、血圧が上がり、血栓ができやすくなるともいわれています。

テレワークでエコノミークラス症候群のリスクも

最近では、新型コロナウイルスの影響で、テレワークをすすめる会社が増えてきました。

実はテレワークでも、エコノミークラス症候群のリスクが高まるといわれています。

先日患者さんから、「通勤がなくなってから、家を出て歩く機会が減り、1日に100歩も歩かなくなった」という話を聞きました。

通勤がなくなった分、朝起きてからずっと同じ姿勢で仕事することで、血流が悪くなってしまいます。

また、自宅でテレワークの環境を整えていない人も多く、正座をしてパソコン作業をやる人もいるでしょう。

イスに座って作業するよりも、血管を圧迫してしまうので、発症の原因になることも考えられます。

エコノミークラス症候群に注意が必要な人の特徴

エコノミークラス症候群になりやすい要素は

・血液がドロドロしていてめぐりが悪い
・血管を圧迫する
・血管が損傷している

などが挙げられます。

 (35830)

特にリスクが高い方は

(1)糖尿病や高脂血症など血液が固まりやすい病気を患っている人
(2)がんを患っている人
(3)妊娠している人
(4)寝たきりの人
(5)持病で血管が傷つきやすい人
(6)ピルなどの血液が固まりやすい薬を飲んでいる人
(7)筋力が弱っている人

これらの特徴に当てはまる人は注意が必要です。

しかしながら、当てはまっていない人も、自分は大丈夫とは思わず、長い時間、体を動かせないときには、次から紹介する方法でしっかり予防をしましょう。

エコノミークラス症候群の予防法

エコノミークラス症候群の予防法として効果的なのは、

(1)足を心臓よりも高い位置に上げる
(2)弾性ストッキング(着圧ストッキング)を履く
(3)水分をこまめに摂る
(4)ふくらはぎの筋肉や足首、足指を動かす

こと。足を心臓よりも高い位置に上げると足から心臓に血をめぐらせることができ、血栓が詰まるのを予防します。

また、弾性(着圧)ストッキングを履くと、つま先からひざ上までの血管を締めつけられるので、血液を心臓に戻すのを手助けしてくれます。弾性(着圧)ストッキングとは、脚にほどよく圧力を加え、血流をよくしてくれるもの。ドラックストアで購入できます。

他にも、水分をしっかり摂ることで血液ドロドロを防ぐ効果があります。

災害時に避難生活をするとき、特に夏は、脱水になりやすいので、塩分を摂り過ぎず、水分をしっかり摂ること。

冬は、血圧が上がりやすいので、適度に運動することを意識しましょう。

また、ふだんから血液をサラサラさせる薬を飲んでいる人は、災害時にそなえて避難バックなどに余分に薬を入れておいてください。

続いて、ふくらはぎの筋肉や足首、足指を動かすストレッチを紹介します。

エコノミークラス症候群を予防するセルフマッサージとストレッチ

ふくらはぎマッサージ(1)土踏まずを両手で包み込む。

 (35831)

(2)土踏まずからひざにかけて、手で包み込みながら下から上にもみほぐす。

<point>
このとき、手で血液を土踏まずからひざに流すことを意識しましょう。力強く「ギュッ、ギュッ」ともんでください。

 (35832)

ストレッチのやり方

(1)足の甲と手のひらを合わせるように、足の指と手の指を絡ませる。

 (35834)

(2)絡ませた足を持ち上げるように、ひざを伸ばす。

<point>
このとき、ふくらはぎの筋肉が伸びように意識しましょう。

 (35833)

最後に、どんな病気でも「自分は大丈夫だろう」と思っている人が多く見られます。

エコノミークラス症候群は、老若男女問わず誰でも発症のリスクがある病気です。

飛行機に乗るときや、災害で車中に避難しているときなど体を長時間動かせないときは、十分に水分を摂り、動かせるときにしっかり運動することが大切です。

イラスト/尾代ゆうこ

この記事に興味を持ちましたか?
はいいいえ

この記事をシェアする

編集部オススメ記事

Recommend Article Recommend Article オススメ記事

オススメ記事をもっと見る