摩擦に汗あれ…。夏の「マスク肌トラブル」を予防する4つの方法
長引くマスク生活で、何と言ってもつらいのが夏の暑さ。汗や蒸れによって肌荒れを起こしていませんか? 今の時期に気をつけたい「マスク摩擦」と「マスク汗あれ」の対策を医師に伺いました。
目次
夏のマスク生活で肌荒れに悩む人が続出
まだまだ続きそうなマスク生活。本格的に気温が上がり、マスクで覆われている部分がヒリヒリしたりかゆくなったりと、肌が荒れやすくなったと感じる人が増えています。メイクも汗で流れやすく、夏のマスクの中は肌にとってはトラブルが起こりやすい状態です。
そのような夏の肌悩みは、マスクによる2つのトラブル、「マスク摩擦」と「マスク汗あれ」が原因かもしれません。
“汗あれ”の原因となる「マスク摩擦」とは?
「靴も大きすぎると、靴擦れが起きますよね。それと同じようにマスクのサイズが大きすぎて、フィットしていないと『マスク摩擦』が起こります」と話すのは皮膚科医のまのえいこさん。
サイズが合わないマスクは肌荒れの原因になるそうです。
「会話のように口を動かす場面では、その度にマスクがズレてしまい、肌の表面に細かい摩擦が生じます。感染症対策はもちろん、肌を守るためにも、マスクがズレないように鼻にぴったりフィットするサイズを選びましょう」(まのさん)
さらに、サイズが大きすぎるウレタンマスクをつけているときは縦に、不織布マスクをつけているときは横にズレて摩擦が起こると言われています。
猛暑日に注意したい「マスク汗あれ」とは?
マスクによる夏の肌トラブルのもう一つの原因が「マスク汗あれ」。教えてくれたのは皮膚科医の吉木伸子さんです。
「汗あれとは、汗に含まれるアンモニアや塩分などの刺激によって、かゆみやチクチク、ピリピリといった痛みが起こる皮膚トラブルです。夏場に体をゴシゴシ洗ったあと、そのまま保湿をせずに放置しておくと、皮膚が傷んでバリア機能が低下し、汗に含まれる成分の刺激が刺激になってしまいます。マスクをつけた顔で、この状態が起きているのが『マスク汗荒れ』です」
「汗あれ」は、首や腕、ひざの内側、ウエストなどに起こりやすい肌トラブルですが、マスク生活で、顔にも「汗あれ」が起こりやすくなっていそうです。また、「マスクの中は湿気が多いため肌がうるおっていると勘違いしがちですが、実は乾燥しています」と吉木さん。
「マスクをすると皮膚の角質層がふやけた状態になりますが、マスクを外すと、角質層の水分が蒸発して皮膚が乾燥。肌のバリア機能が低下してしまいます。その状態でまたマスクをすると、マスクの繊維や汗の成分は刺激となり、汗あれが起ります。これが繰り返されることで『マスク汗あれ』のスパイラルに陥ります」(吉木さん)
また、夏はベタベタした皮脂が気になりますよね。しかし、肌のためには洗顔のやり方にも注意したいところ。
「皮脂を洗い流そうとして、ゴシゴシと強い力で洗顔を行うことは、必要なうるおい成分まで落として、肌のバリア機能を低下させることに。その結果、『マスク汗あれ』が悪化します」(吉木さん)
「マスク摩擦」「マスク汗あれ」を防ぐおすすめ対策4選
夏の肌トラブルを招く「マスク摩擦」と「マスク汗あれ」。マスクによるトラブルから肌を守るための対策をご紹介します。
【マスク摩擦対策 1】正しいスキンケアでこすれ軽減
マスクをする前にスキンケアをしっかりしておくことで、「マスク摩擦」による肌への負担を減らすことができます。
化粧品メーカーのベアミネラル社が行った2つの実験によると、スキンケアによって「マスク摩擦」が防げることが分かりました。
●実験1
まずは、スキンケア化粧品を塗布した布と、何もつけていない布をトルソーの頬部分に置き、マスクを装着。30回軽く動かす実験を行いました。すると、スキンケア化粧品を塗布した方はマスクの繊維の吸着が少なく、スキンケアをすることでマスクによる摩擦が少ないことが分かりました。
●実験2
もう一つの実験では、表面がザラザラしたコルク板を2枚用意し、1枚にスキンケア化粧品を塗り、もう1枚は何も塗らない状態でマスクを置き、板を傾けました。
スキンケアをしているほうはマスクがスルスルと落ちましたが、何も塗っていないほうはコルク板とマスクの間に摩擦が生じて落下が遅くなりました。この実験からも、スキンケアが「マスク摩擦」を軽減することが分かりました。
「肌表面にほぼ一日マスクがある状態では、常にスキンケアはしっかり行うことが大切」と、まのさんは分析しています。
ただし、スキンケアの選び方にはこんな注意も。
「油分の強いスキンケア化粧品をマスクの下に塗っていると、湿度と摩擦でニキビや肌荒れの原因になる場合があります。状況によって、スキンケア化粧品を変えることで、『マスク摩擦』を防ぎましょう」(まのさん)
【マスク汗あれ対策 1】汗をこまめに拭く
汗による刺激を防ぐには、何よりこまめに拭きとることが大切です。「マスクの下に汗をかいたら、吸収性の良いタオルやハンカチで、摩擦が起きないようやさしく押すように吸い取ります。また、汗で湿ったマスクは、そのままにせず新しいものに取り換えましょう」(吉木さん)
【マスク汗あれ対策 2】肌はやさしく洗って清潔に保つ
洗顔をするときは、清潔な手で洗顔料をよく泡立てて。「手でゴシゴシ肌をこするのではなく、泡でやさしく洗い、汗やほこりをお湯で洗い流します。洗顔料で洗い過ぎると肌のバリア機能を低下させて『マスク汗荒れ』を悪化させてしまうので、要注意です」(吉木さん)
【マスク汗あれ対策 3】しっかり保湿する
うるおっているようで実はマスクを外すたびに乾燥している肌。洗顔後はしっかり保湿することも大切です。「ベタつきが気になるなら、さらっとした使い心地のジェルタイプやローションタイプの保湿剤がおすすめです」(吉木さん)
ただでさえ紫外線の影響を受けやすく、肌ダメージに注意したい夏。1日中マスクをしていると、摩擦や汗で一層肌への負担がかかります。マスクによる肌荒れを防ぐために、普段のスキンケアや汗対策を見直して、夏のマスクトラブルを防ぎましょう。
文/廣瀬茉理
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