花粉症を和らげる食べ物と悪化させるNG習慣|田中友也さん 季節の養生法
神戸にある漢方相談薬局「CoCo美漢方」田中友也さんが、“季節の養生法”をお届けする連載。今月は「花粉症」がテーマ。つらい症状を和らげる食べ物や飲み物、やってはいけないNG習慣を紹介します。
目次
鼻水、目のかゆみ、だるさ…。東洋医学的3つの「花粉症タイプ」とは?
今年もいよいよ花粉症シーズンに突入。花粉症の人にはつらい季節がやってきました。
花粉症は、「免疫機能が落ちているから症状が出る」と思われがちですが、実は逆。体に入ってきた花粉(異物)に対して免疫機能が過剰に反応するため起こります。
東洋医学では、体のバリア機能を表す「衛気(えき)」という働きがあり、花粉症は睡眠不足や暴飲暴食、ストレスなどで「衛気」が不足した状態になると起こります。
また、春は「風邪(ふうじゃ)」という邪気が、冷えや熱、湿気など、悪いものを引き連れて体に侵入してきます。「衛気不足」の人は、「風邪」の影響も受けやすくなるのです。
次から、3つのタイプ別に、花粉症を和らげる食べ物や飲み物、悪化させない生活習慣のコツをご紹介します。最も当てはまる症状があなたの花粉症タイプです。
(1)鼻水&くしゃみがひどい「寒(かん)タイプ」
透明で薄い鼻水がダラダラと止まらない、鼻づまり、くしゃみがひどい人が「寒(かん)タイプ」。風邪のひきはじめのような症状が続きます。
寒タイプは、体が冷えているためにこうした症状が出ているため、なるべく温かくして過ごすのがポイントです。
「寒タイプ」の症状を和らげる食べ物&飲み物
寒タイプは、体を温める作用のある食べ物や飲み物を摂りましょう。
体を温める食べ物…ネギ、しょうが、シソ、三つ葉、春菊、パクチー など
体を温める飲み物…チャイティー(シナモン入り)、しょうが湯、ココア など(すべてホットで)
「寒タイプ」のNG習慣は?
「衛気不足」に加え、体の冷えが原因で症状が出ている寒タイプは、春でも体を冷やさないことが重要です。少し外が温かくなってくると、つい冷たい飲み物に手がのびてしまいますが、このタイプはNG。
また、寒暖差が激しいと症状が悪化するため、脱ぎ着しやすい服装で出かけて寒いと感じたら一枚羽織って、体温をコントロールしましょう。夜は、お風呂でゆっくり温まることも忘れずに。
(2)のどのかゆみ、イガイガがつらい「熱(ねつ)タイプ」
のどがかゆい、イガイガするといった熱がこもったような症状が現れる「熱(ねつ)タイプ」。ネバネバした黄色い痰や鼻水も。目の充血やかゆみ、皮膚のかゆみや赤みなどもつらいのがこのタイプです。
熱タイプは、体に熱がこもった状態となり、それが症状になって現れます。余分な熱を外に出すことで、つらさが和らぐでしょう。
「熱タイプ」の症状を和らげる食べ物&飲み物
熱タイプは、体の熱を取り除く食べ物や飲み物を摂りましょう。
余分な熱を除く食べ物…ミント、みょうが、菜の花、セロリ、ゴボウ など
余分な熱を除く飲み物…ミントティー、緑茶(ペットボトルより茶葉から沸かしたほうが効果的)、菊花茶 など
「熱タイプ」のNG習慣は?
香辛料たっぷりの辛い食べ物は、ますます体に熱をこもらせて症状を悪化させるのでNG。
余分な熱を取り除くために、運動で発散することも有効です。花粉の飛散量が少ない朝や夕方に、ウォーキングをして軽く汗をかくのもいいですよ。
また、ストレスは体の上部(頭の方)にのぼせやすく、熱につながるため、「声を出して笑う」「お風呂で歌う」ことでストレスを発散するのもおすすめです。
(3)まぶたの腫れ、体のだるさ、重さがある「湿(しつ)タイプ」
まぶたが腫れて重い、顔や体にだるさを感じるのが「湿(しつ)タイプ」。むくみや頭が重いといった症状も現れます。
湿タイプは、体に余分な水分や汚れが溜まっている状態。それらを体から排出することで楽になります。
「湿タイプ」の症状を和らげる食べ物&飲み物
湿タイプは、体に溜まった余分な水分や汚れを排出する食べ物や飲み物を。主に、利尿作用のあるものがおすすめです。
余分な水分や汚れを排出する食べ物…もやし、きゅうり、あずき、バナナ、シソ、ハト麦、海藻類(わかめ、昆布) など
余分な熱を除く飲み物…どくだみ茶、ハト麦茶 など
「湿タイプ」のNG習慣は?
こってりした脂っぽいものや、甘いもの、味の濃いものはNG。体に余分な水分や汚れを溜め込んでしまう原因になるので、なるべく花粉症シーズンは控えましょう。
「熱タイプ」と同じく、「湿」を排出するためには軽い運動を。朝方や夕方に散歩やウォーキングをして、血流を促すことで巡りがスムーズになり、余分な水分や汚れを追い出すことにつながります。
また、このタイプは特に、シャワーで済ませずに湯船に浸かる習慣を。10~15分程度お湯に浸かり、体の中から汗を排出しましょう。
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今月の養生ポイント:体を守ってくれる「衛気」を養う
花粉症は人によってつらい症状がさまざま。しかしどのタイプも、ベースにあるのは体のバリア機能=「衛気(えき)不足」が関係しています。
「衛気」を作るには、東洋医学でいう「脾(ひ)=胃腸」と「肺」を労わることが欠かせません。胃腸を元気にするためには、あっさりした味付けの温かいものを、よく噛んで食べること。
肺を元気にするためには、有酸素運動や、1日に何回か深呼吸をして、新鮮な空気を取り込むことを習慣にしてください。
長引くマスク生活と外の花粉が気になり、なかなか深呼吸をする機会が減っているかもしれませんが、肺は深く呼吸をして使ってあげることでどんどん元気になります。
「衛気」という体の“門番”をしっかり働かせて、つらいシーズンを乗り切りましょう!
イラスト/植松しんこ
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