玉ねぎ、キャベツ…切り方で変わる!野菜の栄養を残さず摂る方法
せっかくの野菜の栄養、切り方で無駄にしていませんか? 8代続く専業農家に生まれ育った栄養のプロが、野菜のパワーを逃さない切り方&調理法を伝授します。
目次
野菜の栄養を逃さない切り方&調理法は?
健康にも美肌にも欠かせない野菜。毎日なるべく多く摂りたいですよね。実はたくさん食べても、本来摂れたはずの栄養を逃しているケースも。
ポイントになるのが、切り方と調理法。ちょっとしたコツで、野菜が持つ栄養を効率良く、しかも残さず摂り入れることができます。今回は、出番の多い9種類の野菜を使い、栄養を無駄にしない切り方と調理法をご紹介します。
玉ねぎの切り方:スライスして15分間空気にさらす
玉ねぎは繊維を断ち切るようにスライスして、15分ほど空気にさらします。細胞を壊すことで発生した辛み成分の「硫化アリル」が、空気に触れ、血液サラサラ成分「アリシン」に変化。血流改善パワーがプラスされます。
また、アリシンはビタミンB1の吸収を高める効果もあります。ビタミンB1が豊富な豚肉やカツオ、大豆などと合わせると、効率良く栄養を摂り入れることができます。
【栄養を残さず摂れるおすすめの食べ方】
玉ねぎと豚肉のしゃぶしゃぶごまだれサラダ
スライスして空気にさらした玉ねぎと、豚しゃぶをごまだれで和える。
キャベツの切り方&調理法:ざく切りにしてスープかレンチン
キャベツに豊富なビタミンCは水溶性です。流出を防ぐためにも加熱する場合は、大きめにざく切りして電子レンジで調理するか、流れ出た栄養も一緒に摂れるスープに。キャベツは外側の葉ほどビタミンCが豊富なので、葉のむき過ぎには注意しましょう。
芯にも、カルシウムやマグネシウム、ビタミンCやビタミンUなど、栄養がたっぷり含まれているので、捨てずに食べて。芯は薄くスライスして電子レンジ(600W)で3分ほど加熱し、中華ドレッシングで和えると、ザーサイのような味と食感になり、おいしく食べられます。
【栄養を残さず摂れるおすすめの食べ方】
キャベツとベーコンのポトフ風スープ
キャベツ、じゃがいも、ベーコン、トマトをコンソメベースで煮る。
「ベジファースト」とは、食事の最初に野菜を食べ、脂質や糖質が多い食品をその後に摂ることで、糖質や脂質の吸収をコントロールし、肥満や糖尿病などを予防する食事法。これを自らキャベツで実践して大きな効果を実感した医師が、お腹が凹む究極のベジ・ファーストを伝授します!
トマトの切り方&調理法:加熱するとリコピンの吸収率が3倍に
トマトはすりおろしや、加熱で、細胞壁が壊れたり柔らかくなり、「リコピン」の吸収率が約3倍に。リコピンは、若返りのビタミンと呼ばれる「ビタミンE」の100倍もの抗酸化作用があるといわれています。
また、カロテノイドの一種であるリコピンは、油との相性が良く、一緒に調理することで吸収率がアップ。玉ねぎやにんにくを加熱調理すると生成される香り成分「ジアリルジスルフィド」にも、リコピンの吸収を促進する働きがあるので、合わせて摂ると効果的です。
【栄養を残さず摂れるおすすめの食べ方】
アマトリチャーナ
フライパンにオリーブオイルとみじん切りにしたにんにく、種を除いた唐辛子、食べやすく切った玉ねぎとベーコン、すりおろしたトマトを入れて炒めてソースを作り、ゆでたパスタと和える。
トマトやトマトジュースに含まれる「リコピン」。女性にうれしい美肌効果はもちろん、その他にもダイエットや健康をサポートする働きもあります。リコピンの効果と効率的に摂る方法を、管理栄養士が解説します。
きゅうりの切り方&調理法:発酵食品に漬けて栄養価アップ
きゅうりは、塩麹やみそ、ヨーグルトなどの発酵食品と相性が良く、たたいて漬け込むことで発酵食品の栄養をプラスすることができます。味と栄養を染み込ませるためにも、冷蔵庫で1〜2時間漬け込みましょう。
また、ミネラルが多く約95%が水分でできているためデトックスにぴったり。むくみ改善やダイエットにおすすめです。
【栄養を残さず摂れるおすすめの食べ方】
たたききゅうりの塩麹和え
塩麹にごま油、酢、ごまを加え、たたいたきゅうりを漬け込み、冷蔵庫で1〜2時間置く。
にんじん切り方&調理法:皮ごと切って油で調理
にんじんは、皮にもβ-カロテンがたっぷり含まれているので、残さず栄養を摂るには皮はむかずそのまま調理するのがおすすめです。千切りにすると皮が気になりにくく食べやすくなります。
皮膚や粘膜の健康を維持する働きがあるβ-カロテンは脂溶性のビタミンのため、油で加熱することで、生のまま食べるより吸収率が70%アップします。
【栄養を残さず摂れるおすすめの食べ方】
にんじんのたらこ炒め
にんじんは皮ごと千切りにし、オリーブオイルで炒め、たらこ、酒、しょうゆを加え、ポロポロになるまで炒める。
じゃがいもの調理法:皮つきのままレンジで加熱してから調理
じゃがいもに豊富に含まれるビタミンCを残さず摂るなら、ゆでるのではなく、皮つきのままレンチンするか、蒸してから調理を。レンジを使う場合は、ラップで包み電子レンジ(600W)で3分程度加熱しましょう。なるべく水にさらさないことで、ビタミンCが水に流れ出るのを抑えることができます。
ビタミンCは、ストレスへの抵抗力を強める働きがあり、精神的・物理的ストレスを感じている人は特に摂りたい栄養素です。
【栄養を残さず摂れるおすすめの食べ方】
レンチンポテトの揚げ焼き 青のり塩
電子レンジで加熱した皮つきのじゃがいもを大きめにカットする。フライパンに1cmくらいの油を入れ、じゃがいもを揚げ焼きにする。カリッとしたら青のりと塩をまぶす。
ダイエットの敵と誤解されがちな「おいも」ですが、食物繊維やビタミンがたっぷりで、実はダイエットの心強い味方。 腹持ちのいいさつまいも、じゃがいもレシピでスリム体型を目指しましょう。
白菜の切り方&調理法:中心から食べる方が栄養を損しない
白菜の栄養をムダなく摂るためには、中心から食べるのが正解。収穫後は、外側から内側へ栄養が送られているため、時間がたてばたつほど、外側の葉には栄養がなくなってしまいます。白菜を数日置いておくと真ん中が盛り上がってくるのは、栄養が移動しているから。
また、白菜は冷凍しても栄養価があまり変わらないので、新鮮なうちにカットして、冷凍保存するのもおすすめです。
【栄養を逃さず摂れるおすすめの食べ方】
白菜のグリル バルサミコソース
フライパンにオリーブオイルを入れ、1/8にカットした芯のつながったままの白菜を焼き目がつくまで焼く。にんにく、バルサミコ酢、はちみつ、しょうゆ、オリーブオイルを熱したソースをかける。
ピーマンの切り方&調理法:たて切りにして油と一緒に調理
ピーマンは繊維に沿ってたて切りにすると、苦みを感じにくく、「クエルシトリン」や「ピラジン」といった抗酸化成分や栄養の流出も抑えることができます。
また油と一緒に摂ると、脂溶性ビタミンであるβ-カロテンの吸収率もアップ。捨ててしまいがちなヘタやわたにもポリフェノールが含まれているので、残さず栄養を摂るなら丸ごと調理を。
【栄養を残さず摂れるおすすめの食べ方】
ピーマンのホイル焼き おかかしょうゆ
丸ごとピーマンにごま油をかけてホイルに包み、トースターで蒸し焼きにする。焼き上がったら、しょうゆ、きび砂糖を混ぜたものと削り節をかける。
ブロッコリーの切り方:新鮮なうちに房をカットして保存
ブロッコリーは新鮮なうちに房の部分だけをカットすると、栄養をキープできます。また、茎の部分には、ビタミンCや食物繊維が多く、ゆでるよりも、電子レンジで加熱するか蒸した方が、栄養の損失を抑えられます。
房には肝臓を元気にする効果が期待できる「スルフォラファン」も。栄養を残さず摂るためにも、新鮮なうちにカットしましょう。
【栄養を残さず摂れるおすすめの食べ方】
蒸しブロッコリーのマヨヨーグルトソース
マヨネーズ、ヨーグルト、粉チーズ、塩、こしょう混ぜたソースを、蒸したブロッコリーにかける。
冷凍したら野菜の栄養はどうなる?
野菜を冷凍するときに気をつけなければいけないのが、ビタミンCなどの水溶性ビタミン。水溶性ビタミンとは水に溶けやすいビタミンのこと。解凍するときに水分と一緒に流出しやすいため注意が必要です。
キャベツやほうれん草などの水溶性ビタミンが豊富な野菜を冷凍したときは、解凍せず、冷凍のまま調理してなるべく栄養の損失を防ぎましょう。
ビタミンA、D、Eといった油に溶ける脂溶性ビタミンは、冷凍しても維持ができるので、にんじんやピーマンなどの脂溶性ビタミンが豊富な野菜は、生でも冷凍でも栄養価に差が出にくいといわれています。
ちなみに、じゃがいもやさつまいもなどのいも類や、水分が多いナスなどは、そのまま冷凍すると味や食感が変わってしまうので、冷凍保存にはあまりむいていません。
切り方や調理法で、野菜の栄養摂取率は変わります。無駄なく残さず野菜のパワーを摂るためにも、ぜひ毎日の食事作りに取り入れてみてくださいね。
撮影/阿部吉泰
[ 監修者 ]