“コロナ自粛”で険悪に…。夫婦関係のストレスを解消するには?
“コロナ自粛”で一緒に過ごす時間が増え、これまで気にならなかった夫の態度に、イライラが爆発している人が多いようです。険悪になった夫婦関係や夫へのストレスを、上手に解決する方法を教えてもらいました。
目次
コロナ自粛でテレワークの夫にイライラ!
メンタルアップマネージャ(R)の大野萌子さんに人間関係でストレスをためない方法を教えてもらう連載。第11回目のテーマは、「コロナ自粛で実感した夫婦関係のストレス」です。
テレワークが増えた夫に対して感じた、違和感やイライラ。読者からはこんな不満の声が…! みなさんのお宅はどうですか?
ストレス1 家事をやってくれない
・在宅勤務の夫は、家にいても仕事以外はゴロゴロしていて、家事を手伝ってくれない。三度の食事をつくってもらって当然という態度が腹立たしい。
・お昼は定時に日替わり定食のような食事を用意することを要求される。専業主婦なので文句が言いづらい。
ストレス2 価値観の違い
・一緒にいる時間が増えて、夫が「こんなにつまらない人だっけ?」と愕然。
・コロナ予防に対する意識が夫と違い過ぎる。手洗いやマスクに無頓着な夫に、常にイライラ。
ストレス3 自分のペースが乱れてしまう
・夫が1日中家にいて、口うるさいのが嫌。監視されているような息苦しさがある。
・もともと仲がよくないのに一緒にいる時間が多く、気持ち的に限界…。
・夫がリビングで仕事をしていて、自分の居場所がない。
ストレス4 金銭的な不安
・夫の仕事がコロナで激減。イライラしている夫に気を遣うし、生活への不安も大きい。
・自営業のため休業状態が続いている。お金の心配が増えたのに、家事の負担は増えて、ストレスだらけ。
なぜ妻は、在宅の夫にイライラするのか?
コロナ自粛で家族の在宅時間が増え、ギクシャクしている夫婦が少なくありません。「コロナ離婚」という言葉が生まれるほど、夫婦関係に大きな影響を与えています。その原因として、「感謝されない」「息苦しい」「意見がぶつかる」「自分のペースで動けない」などの不満が大きなストレスとなっているようです。
夫とあらためて一緒に過ごしてみて、「こんな人だと思わなかった」と思うのは、これまで相手の「見たくない部分を見ないようにしてきた」ことの裏返し。人は、自分に都合が悪いことは見ないようにすることで、自分を守っているのです。これまではそれが通用していましたが、お互いが家で顔を突き合わせる時間が増えて、いやがおうにも相手の嫌な部分に目を向けることになります。
(1)経済的不安から心の余裕が持てない
コロナ自粛は働き方だけでなく、収入にも大きな影響を与えています。飲食店などのサービス業を中心に収入が激減したり、ゼロになったり…。中には職を失った人もいます。多くの人が、先のことに漠然とした不安を感じているのではないでしょうか。それが心の余裕を奪っているといえます。
こうした閉塞感の中、ちょっとしたストレス解消は必要ですが、ネットショッピングやお取り寄せをすると、「贅沢だ」「無駄遣いしてばかり」などと夫に責められることも。「だからお前はダメなんだ」と相手を全否定し、夫婦関係に大きな亀裂が入るケースもあります。特に専業主婦や、コロナ禍でパート収入が減っているなどの場合は、家庭内での妻の経済的立場が弱く、こういったストレスにさらされがちです。
(2)夫も在宅なのに妻の家事負担が多い
夫が家にいても、家事負担はコロナ前と同じ。ゴミ出しだけで、自分も家事を手伝っていると思っている夫も少なくないのです。
特に共働きの場合は、夫婦ともに在宅ワークという条件は同じでも、家事負担は妻メインのままというケースも多いようです。さらに、それが当然と思っている夫も少なくありません。中には、「レンジでチン」の料理を出せば、「手抜き」と文句を言うケースも…。コロナ自粛により、妻には「自分ばかりが大変」というストレスがずっしりとのしかかっています。
(3)夫とこんなに価値観が違ったなんて
生活が大きく変わり、それに対応する中で、「お互いの価値観が思った以上に違った」ということも、よくあることです。わかりやすいのがコロナの感染症対策。いくら注意しても、手洗い・うがいをおろそかにする夫にイライラすることはありませんか?
他人なら「その人の価値観」と受け入れられても、家族となると、話は別。同じ価値観を共有できるのが一番ですが、譲り合いができず、どちらか一方が我慢することも。日々の生活のことだけに、我慢する側にとっては強いストレスとなります。
夫婦仲を改善するための4つの対策
コロナ自粛で感じた夫への大きな不満。夫婦関係がいつまでも険悪だと心が疲れますし、子どもとの関係にも影響します。ストレスが小さなうちに解消することが、夫婦関係を良好に立て直す近道です。そのための4つの対策をご紹介します。
対策1 相手に依存せず、自律する
夫婦関係に限らず、人間関係のトラブルの多くの原因は、相手への依存が原因です。相手を変えようとしたり、コントロールしようとしても、ムダな努力に終わるだけ。思う通りにならず、かえって怒りを感じることになるでしょう。大切なのは、自分と相手の境界線をはっきり自覚すること。そうやって、自分が「自律」すると、相手の言動に振り回されず、自分も相手も尊重できるようになります。
対策2 ひとりの時間をつくる
夫婦関係が悪化する理由のひとつが、ひとりの時間が持てないことにあります。人には、誰かと一緒にいる時間、ひとりでいる時間の両方が必要です。夫婦といえども四六時中一緒にいると、相手が厄介者に見えたり、欠点が目についたりします。家族より30分だけ早く起きてひとりになる、好きな入浴剤を入れてゆっくりお風呂に入るなど、「ひとり時間」を意識的につくるようにしましょう。
対策3 夫と物理的な距離をおく
家の中の環境を物理的に変えるのも、夫婦関係改善に役立ちます。ずっと同じ空間にいると、気を使って疲れてしまいますよね。オフィスでも席替えをして物理的距離をおくことで人間関係の改善に役立ちます。在宅ワークでは、お互いの仕事をする部屋を分ける、リビングにそれぞれのワークスペースをつくるなど、「距離をとる」工夫が必要です。
対策4 家族以外のコミュニティを持つ
家にこもりがちだと、コミュニケーションをとるのは家族だけになりやすいですよね。積極的に外出するのは難しくても、これまで培ってきた友人関係や、習い事を始めるなど、家族以外のコミュニティで、交流を持ち続けるように心がけましょう。対面でなくても、オンラインやSNSなど、手段は色々あります。他のコミュニティを持つことで視野が広くなり、夫へのストレスも感じにくくなります。
今回のコロナ自粛でストレスを感じている夫婦は、もともと潜在的に、コミュニケーションに問題を抱えていた人も多いのではないでしょうか。コロナはあくまでもきっかけのひとつ。大切なのは、自分自身の気持ちです。
自分はどう思っているのか、どうしたいのか。これを機に、自分と向き合い、相手に対して言葉にして伝える努力が大切です。最初から相手が悪いと決めつけると、コミュニケーションはうまくいきません。夫婦であってもお互いの立場を尊重することを忘れないようにしてくださいね。
取材・文/工藤千秋 イラスト/地獄カレー
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