台風シーズンには 体調の備えも万全に|からだにいい天気
迷走する、災害級の大雨を降らせる…… そんな台風が近年、増えています。見過ごせない台風と体調との関係について、気象予報士の岡田みはるさんに聞きました。
駆け込みレジャーは高波にご用心
夏と言えば海!さんさんと降り注ぐ太陽の光、きらきら光る波しぶき。
波打ち際で遊んだり、パラソルの下でひたすら波が寄せては返すのを眺めたり……。砂浜を裸足で歩くのも気持ちいい。海は夏疲れした心や体を癒やしてくれる存在。
実際、体調を整えるために海辺で過ごす海洋療法(タラソテラピー)があり、海は遊びに行くだけで体にいい場所なのです。これから海のレジャーを駆け込みで予定している人もいるかもしれません。
ただ、お盆過ぎは波が高い日が多くなるので注意してください。
穏やかな天気の日にも波は急に高くなる!
この時期、海岸には「土用波(どようなみ)」が打ち寄せるようになります。土用波とは、遠く離れた台風によって生じた波がうねりとなって岸に届くもの。真っ青な空や穏やかな海風に似つかわしくない高い波が特徴です。
そもそも打ち寄せる波の100波のうち1波は1・6倍、1000波のうち1波は2倍の高さになる性質があり、これを一発大波(いっぱつおおなみ)と言います。この波にのまれ、事故が起こることがあるので、土用波の日は注意しましょう。
不調を感じる人続出? 秋の台風がつらい理由
台風の接近・通過で起こるめまいや頭痛、腰痛、喘息(ぜんそく)等の気象病に悩まされる人にとってつらいシーズンが、いよいよ到来します。
真夏も台風はやってきます。しかし、秋の台風のほうがつらいと感じるのはなぜでしょうか。
理由の1つ目は、偏西風が日本列島の真上に現れること。台風は日本付近でこの風に乗ってスピードアップするため、気圧の低下の仕方がより急になるのです。
2つ目は海水温と水蒸気の状態です。台風は暖かい海面上の水蒸気を取り込むことで勢力を保ちます。秋は夏を経て海面水温が高くなり、海面上の水蒸気もたっぷりの状態。そのため、勢力が衰えずに接近し、そのまま日本列島を縦断することも。
今後、地球温暖化に伴い、最も勢力が強いクラス(最大風速が毎秒67メートル以上)の「スーパー台風」が、より発生しやすくなると考えられています。海面が暖かくなれば水
蒸気も増え、台風が大きく育つ条件が整うためです。不調を訴える人も増えるかもしれません。
台風シーズンを乗り切るために、まずは夏バテを癒やして。夏の終わりは消化のいい食事をし、寝不足は短めの昼寝で補って、アルコールは適量に、機嫌よく過ごしましょう。
Keyword 「偏西風」
上空高い所に常に吹いている強い西風。季節で吹く地域が変わる。夏は日本列島の上に無いが、秋になるとちょうど真上に。
このため、迷走しがちな夏の台風に対し、秋の台風は偏西風で進路が定まり動きも早くなる。別名ジェット気流(Jet Stream)。飛行機も飛行時間の短縮にこの風を利用している。
秋の台風は夏よりも体調に影響しやすい
秋の台風は偏西風に乗ることでスピードアップ。気圧の変化が急激になり、夏の台風よりも体調に大きく影響する。
イラスト/中村加代子
(からだにいいこと2019年10月号より)
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