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「マインドフルネス」の効果は?初心者におすすめの2つの呼吸法

ストレス軽減などに効果的な「マインドフルネス」。取り入れたいけどどうすればいい? そこで、初心者でも簡単にマインドフルネスを体感できる、呼吸法をご紹介します。

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話題の「マインドフルネス」とは?

インターネットが普及し、パソコンやスマホをいつも触っている現代。頭の中は常に考え事でいっぱいという人も多いのでは? そんな人にぜひ取り入れていただきたいのが「マインドフルネス」です。ストレス軽減、集中力が高まるなど、たくさんの効果が得られます。

ろうそく

そもそもマインドフルネスを一言で表すと「気づき(Awareness)」。詳しく解説すると「外側に向いている意識を自分に向け、何にもとらわれない状態で、ただ自分の内側を観察する」となります。

マインドフルネスは、マサチューセッツ大学医学校名誉教授のジョン・カバットジン(Jon Kabat-Zinn)博士が、「マインドフルネス瞑想」を医療分野に取り入れたことがきっかけで世界から注目されるようになりました。そのあと、一般企業であるGoogleやアップルがマインドフルネス瞑想を取り入れたことでさらに話題に。

実践するのに費用や道具は必要なく、いつでもどこでも行えることから、誰でも簡単に始めることができます。

「マインドフルネス」の心と体の効果は?

光

マインドフルネスには心と体にポジティブな効果をもたらすことが学術的にも示されています。その効果の一部だけでもこんなにもたくさんあるんです。

<マインドフルネスの効果>
・集中力が高まる
・ストレスが軽減する
・注意力や洞察力が高まる
・レジリエンス(自発的治癒力:ストレスや逆境に対応する回復力や柔軟性)が高まる
・湧いてくる感情に気づき、距離をとることができるようになる
・感情のコントロールができるようになる
・不安感や絶望感、怒りなどのネガティブな感情がやわらぐ
・自己統制力が高まる
・慈愛心(他人を思いやる気持ち)が向上する
・免疫機能の改善

マインドフルネスは毎日継続することが理想ですが、数回だけでもすぐに効果を実感できるものでもあります。

マインドフルネスで脳がポジティブに変化!

ある実験では、学生に10分間のマインドフルネス瞑想を行ったところ、創造性が高まり、アイデアの多様性が広がったという結果となりました。また、心をよりポジティブな方向にしつつ、リラックスした状態にする、ネガティブな感覚に陥らないなどの効果も。

たった10分間のマインドフルネス瞑想によって不安・心配・イラ立ちの値がそれぞれ減少していました。(※1)

そして、別の研究では、マインドフルネスで脳がポジティブに変化することがわかりました。1日平均27分のマインドフルネス瞑想を週6日、8週間行った結果がこちら。(※2)

・    記憶力、やる気の向上、ストレスに強くなるなどの効果が増加
・    不安や怒り、感じるストレスなどが減少

マインドフルネスの効果が脳科学の面からも明らかに。最新の研究でも、瞑想によって脳の構造が変化することがわかっています。(※3)

簡単にできる心と体のセルフケアとして、マインドフルネスは私たちの生活に大いに役立ちます。

マインドフルネスな生活の第一歩、「呼吸」の大切さとは?

自然

マインドフルネスとは「気づき」であり、心を「今」にむけた状態です。でも、「マインドフルネス=瞑想」と思って、「瞑想をしてみたけれど、これでいいの?」、「あっているのかわからない」という声をよく耳にします。瞑想はマインドフルネスを達成するための手段として使えますが、難しいと感じる方も実際多くいます。

そこで、マインドフルネス初心者さんにおすすめしたいのが「呼吸」です。

呼吸に「集中」している状態がマインドフルネス状態なので、マインドフルネスを体感しやすくなります。

呼吸を深めることで、表側の意識が鎮まって、内側の意識を観察しやすくなります。

すると、心の中と体の中で起きていることにも気づきやすくなるのです。静かに呼吸を見つめ、ゆっくりと深い呼吸を行う習慣が身についてくると、自然と心の状態も落ち着いていき、マインドフルネスが深まるようになるでしょう。

初心者さん向け 2つの呼吸法のやり方

呼吸法は、初心者でもマインドフルネスを体感しやすいおすすめの方法です。

そこで、ストレスレベルを下げる「4・7・8呼吸法」と、自律神経を整える「片鼻呼吸」、2つの呼吸法のやり方をご紹介します。

ストレスレベルを下げる「4・7・8呼吸法」

呼吸法

4秒吐いて、7秒止め、8秒かけて吸う呼吸法です。

体内のストレスレベルを下げる、不安の軽減、リラックス効果、やすらぎの促進、気分の転換、睡眠の質の向上、活力の回復などの効果があげられています。

呼吸するだけなので、誰でも、どこでも、簡単に実行することができます。

【やり方】

まず、楽な姿勢で座るか、仰向けになります。口から「フゥー」という音をたてて、息を吐き切ります。呼吸中は舌先を上あごに軽くつけておきましょう。

1、 口を閉じて4つ数えながら、鼻で静かに息を吸います。

4・7・8呼吸法

2、 4まで数えたら息をとめ、7つ数えます。

4・7・8呼吸法

3、 7まで数えたら、口から「フーッ」という音をたててながら8つ数えながらゆっくりと息を吐き切ります。

4・7・8呼吸法

1から3を1セットとして、4セット繰り返します。1日2回、毎日行うようにするとベストです。

必ず、鼻から静かに吸い、口から吐き切りましょう。息が苦しいと感じたら、数の数え方を早めてもかまいませんが、「吸う、止める、吐く」の「4・7・8」という比率は守ってください。慣れると呼吸が長くなっていき、吸う息も吐く息も深くなっていきます。

最初の1カ月は、1回4セットまで。慣れてきたら1回8セットまで伸ばしても大丈夫です。

自律神経を整える「片鼻呼吸」

片鼻呼吸

感情の浮き沈みが激しい人や気持ちが落ち込みやすい人におすすめなのが「片鼻呼吸」です。

ヨガの世界で昔から使われている呼吸で、心と体をケアする方法として伝わってきたものです。

片方の鼻の穴から交互にゆっくりと呼吸をすることで、交感神経と副交感神経に働きかけ、自律神経のバランスを整える効果が知られています。また、腸内環境にも良い影響を与えます。

ストレスレベルの大幅な減少が認められたほか、心血管機能にプラスの効果があるなどが研究でもわかっています。

【やり方】

イスに浅く腰掛けるか床にラクに座り、頭のてっぺんを天井から1本の糸でつられているようなイメージで背筋を軽く伸ばします。肩の力は抜き、手はラクな位置に。ここから、ゆっくりと片鼻ずつ交互に呼吸を繰り返していきます。

1、 右の鼻の穴を右手の親指で押さえる。

2、 左の鼻の穴から4秒かけて息を吸う。

片鼻呼吸

3、 左の鼻の穴を右手の薬指で押さえ、少しだけ息を止める。

4、 右手の親指を外し、右の鼻の穴から4秒かけて息を吐く。

5、 左の鼻の穴を押さえたまま、右の鼻から4秒かけて息を吸う。

片鼻呼吸

6、 右の鼻の穴を右手の親指で押さえ、少しだけ息を止める。

7、 右手の薬指を外して左の鼻の穴から4秒かけて息を吐く。

片鼻呼吸

1から7を1セットとして、10回程度からスタートし、徐々に回数を増やしてみましょう。呼吸の長さも4秒からはじめて10秒まで、伸ばせるとよりマインドフルネスが深まります。

マインドフルネスを上達させるには?

室内

紹介した2つの呼吸法を1分でよいので毎日続けるのがコツです。長時間の呼吸法を週に1回行うよりも、マインドフルネスの効果を得やすくなります。1分でも2分でもよいので、空いた時間に行うようにこころがけましょう。

初めのうちは、考えが浮かんできて、雑念にとらわれるかもしれませんが問題ありません。雑念が「浮かんでいる」ということに気づく練習をしましょう。気づきのない状態では、私たちは浮かんできた思考や感情にどんどん捉われていき、考えや妄想を膨らませてしまいます。

「あ、今晩のご飯何にしようって考えていたな」、「あ、今、怒りがこみ上げてきたな」などと、自分の中に沸き起こってきた思考や感情に気づき、自分を俯瞰して見られる状態がマインドフルネスです。

思考や感情が頻繁に浮かんでくるからマインドフルネスができていない、ということではありません。まずは、「数を数えながら深く呼吸をすることに集中し、考えが浮かんだことに気づき、それを手放しまた呼吸に戻る」という練習をしてみましょう。1日の中で心が穏やかな時間が増えていくはずです。マインドフルネスが皆さんの毎日の生活に役立ちますように。

※1 
Harvard Business Review https://www.dhbr.net/articles/-/5033?page=2
オランダのエラスムス大学による研究。
マインドフルネスが短期間で創造性を高めてくれることを検証

※2 
2010年発表の研究より。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2840837/
ハーバード・メディカルスクールと合同研究チームによる研究

※3 
2017年発表の研究より。https://advances.sciencemag.org/content/3/10/e1700489
ドイツのマックス・プランク研究所の研究チームによるもの。3つの瞑想トレーニングプログラムを1日30分で週6回、3カ月以上実践した参加者の脳活動を調べたもの。3ヶ月のトレーニングで、実際に脳が変化した。

ヘルスコーチとは

ヘルスコーチとは、アメリカを中心に世界でニーズが高まっている職業です。健康の悩みに対し、食事、住環境、人間関係、キャリアなど、人生に関わる項目全体から答えを導き出して改善します。マラソンの伴走者のように悩みを抱える人と同じ立場に立ってコーチングしていくのが特徴。ダイエットのほか、摂食障害、心身の疲労、人間関係などヘルスコーチによって専門とするジャンルは多岐に渡ります。

https://www.integrativenutrition.com/

文/有屋田佳代 イラスト/小松容子

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