からだにいい旅 英国編:のんびり歩きを楽しむ「フットパス」
最近、全国的に盛り上がりを見せている「フットパス」。でも、具体的にどんなもの ?そう思った編集者Uが、フットパス誕生の地イギリスで、当地のフットパスに参加してみました。
昔からのありのままの風景の中を、交流を楽しんで
まず、フットパスって何なのでしょう? 日本フットパス協会のHPには、「森林や田園地帯、古い街並みなど、地域に昔からあるありのままの風景や、現地での体験や交流を楽しみながら、歩くことができる小径(こみち)」と書かれています。
以前に熊本県美里町でのフットパスに参加した時には、のんびりと里山やあぜ道を歩き、休憩地点では地元の方がお茶をご馳走してくれました。
その1日でストレスはかなり解消され、何より目の疲れが吹き飛びました。心身ともにリラックスできたのです。
もとからあった道を歩く権利を求め、イギリスで始まったフットパス
イギリスでは18世紀後半に始まった産業革命の後、資本家たちが道を含め多くの土地を囲い込み、私有地として立ち入りを禁止していました。この囲われた私有地に、もともと存在した道を歩く権利を求めた社会運動が各地で起こりました。
その結果、1949年にフットパスは歩く権利を保証された公共歩道として国の制度となり、私有地であっても誰でも歩くことができるようになりました。現在では、散歩やハイキング、ウォーキング、ジョギングやトレッキングなど、健康やレジャー目的で多様に利用されていて、乗馬やサイクリングを認められた道もあります。
フットパスはこのコースのことで、そこで何をするのも自由。つまりゆるゆるなスポーツなのです。歩き疲れたらバスに乗ってもOK!
では、誕生の地イギリスでは、フットパスをどんな風に利用しているのでしょう?
ロンドン市内とコッツウォルズ地方、2つのフットパスに参加してみました。
ロンドン市内
日本では里山や田園地帯に多いフットパスも、イギリスではロンドン市内にもあることに驚きました。
まずはロンドンの本屋さんへ。この一角はすべてフットパスの本と各地の地図が並んでいます。
ウエストミンスター議事堂の傍を流れるテムズ川沿いの歩道もフットパスコース。残念なことにロンドンのランドマーク、ビッグ・ベンは修復工事中でしたが、途中で透明な人(大道芸)に会いました。
コッツウォルズ
コッツウォルズはロンドンの西方にあり、5つの州にまたがる広大で牧歌的な丘陵地帯です。名前の意味が「羊の丘」というだけに、どこへ行っても出合うのは羊と、古いイングランドの面影を残した石造りの建物。
広々とした牧場が広がり、遠くに小さな村と教会が。どこかからピーターラビットやハリー・ポッターが出てきそうです。
フットパスは細い道かと思っていましたが、こんな草原を自由に歩くこともできます。ただし、羊や馬たちの糞を避けながら!
その道がフットパスかどうかは、標識でわかります。「FOOTPATH」と書かれた矢印のさす道を歩けば安心。わざわざ「Private road」と書かれた場所も。
羊や馬などの牧畜が入らないように掛け金などがかかったゲートもあり、それを開けて通ったり、乗り越えなければならないことも!
訪れたのはクリスマス時期。お土産店などはクリスマス休暇でCLOSEのところも多かったのですが、教会はどこもOPEN。快く見学させてもらいました。
フットパスを通る人たちのためのレストラン。馬小屋を改造して作ったのだそうです。
オーナーで料理人のボブが歓迎してくれました。
広い屋内では、驚くほどたくさんの人たちが食事中。車の通行が禁止されたコースなので、健康のために歩く人がこんなにいるのですね!
イギリスのフットパスには、あちこちに休憩用のベンチが用意されていました。この地方では、建物らしきものにはほとんど出合わないのでありがたい!
案内してくれたタービル村にあるケイトさんのご自宅前。200年前の建物と聞いてビックリ。
ご馳走になったホットミルクティーを片手におしゃべり。楽しいひと時でした!
途中でお茶を飲んでも、買い物をしても自由なフットパス。今後も健康アイテムとして、いろいろなコースを歩いてみたくなりました。
フットパスについて知りたい方は
フットパス研究所 footpathlabo@omoyainet.com
日本国内のフットパスについては
日本フットパス協会 http://japan-footpath.jp
(からだにいいこと2019年5月号より)