アラフォーからの「におわない体の作り方」 口臭・頭臭対策に
加齢で体臭も変わること、知っていますか? 口臭・頭臭・ワキ臭からデリケートゾーンまで、気になる“オンナ” のニオイ問題をスッキリ解決します!
目次
からだにいいこと読者269人に調査! 気になるニオイとは?
アラフォーになってから、何だか自分が臭っているような気がしてきて…。そんな不安を感じている人は少なくないはず。そこで読者269人に「ニオイ」に関するアンケートを実施しました。
その結果、自分のニオイが少しでも「気になる」と答えた人はなんと78%! みなさん、人知れず悩んでいる様子です。
もしかして私、におってるかも!? Let’s セルフチェック!
ニオイには慣れが生じやすく、自分ではなかなか気づかないもの。1つでも当てはまる人は要注意です。
微生物を味方につけて、不快なニオイを防ぐ!
気になる自分のニオイ…どうすればいいのでしょう?
「誰もが、年齢とともににおいやすくなるもの。でも、悪臭の原因を減らせば、におわない体は作れます」と、医師の桐村里紗さん。
体臭の原因の多くは、皮脂が酸化すること。皮脂は本来無臭ですが、微生物が分解することで酸化し、イヤなニオイのガスを発生させます。アラフォーになると皮脂の成分が変化。だんだんにおいやすい体になっていくので、対策が必要です。
ニオイ予防のキモは、人の体にすむ微生物たち(常在菌)を味方につけること。
「皮膚や口の中には、できるだけ多くの種類の菌がすんでいるのが理想。さまざまな菌がバランスを取り合えば、ニオイの原因菌ばかりが増殖するのを防いでくれます」と、東京理科大学教授の鈴木智順さん。
ところが生活習慣の乱れやストレスなどが続いてバランスが崩れると、ニオイの原因になることが。菌ごとの特徴を知り、うまく味方につけて悪臭をリセット!
さらに、ニオイの場所ごとに対処法はさまざま。特にデリケートゾーンは、下着の素材が防臭のカギに。
「綿の下着でムレを防げば、雑菌の繁殖を抑制。膣のニオイの大半は改善します」と、医師の駒形依子さん。
自分のニオイに合わせたケアで、イヤなニオイを解消しましょう!
女のニオイは35歳で変化する
女性のニオイの曲がり角は、35歳前後。皮脂の成分の変化や女性ホルモンの減少が、ニオイの変化を引き起こします。
1. 甘いニオイ「ラクトン」が減る
若い女性に特有の甘い香りは、「ラクトン」という物質によるもの。分泌量は10代後半をピークに加齢とともに減り続け、30代になると激減。
2.加齢臭を起こす「ノネナール」が増える
40代になると「ノネナール」という物質が増加。これは皮脂が微生物によって分解・酸化されるときに出る成分で、加齢臭の原因に。
3.女性ホルモンが減少し、皮脂のニオイが悪化
皮脂の分泌や酸化をおさえる働きがある女性ホルモン。更年期に入り分泌が減ると皮脂が酸化しやすくなり、さらなるニオイを引き起こします。
最近、体の臭いが気になる…。もしかして年齢によるもの? 年齢と共に気になり始める加齢臭は、男性だけでなく女性にもあります。加齢臭の特徴、臭いわなくなるための体の洗い方など、自分でできる対策を紹介します。
におう場所別 スッキリ解決法
口臭 – 読者の47%が悩む
マスク生活が続くと口呼吸になり、口臭が生じがち。少しでも気になったら、対策が必要です。
腸のトラブルや歯周病が口臭を引き起こす
「口臭の原因は、腸内環境の悪化や歯周病です」と、桐村里紗さん。
腸内環境が悪化すると、悪玉菌が増加しニオイが発生。これが吐く息を通して、口臭として出てきます。発酵食品や食物繊維を食べ、腸活に励むことがニオイを防ぐポイント。
歯周病は、成人の8割が感染しているとか。口臭が少しでも気になったら、積極的な歯間ケアを!
歯磨きは寝る前&寝起きに
唾液は、天然の殺菌成分を含みます。食事の直後の歯磨きは、せっかくの唾液を取りのぞいてしまうのでNG! 唾液がもっとも減るのは夜の睡眠中なので、歯磨きは寝る前と寝起きが◎。
アンモニア系の口臭は肝臓・腎臓からのSOS
肝臓や腎臓の機能がかなり低下すると、アンモニアが処理・排泄できなくなり、口臭に表れることが。もしツンと鼻をつく口臭がしたら、早めに病院へ。
歯間ケアで歯周病菌を退治
歯周病の原因菌は、歯と歯茎の間や歯間など、歯ブラシの届かない場所に潜んでいます。糸ようじやフロスで歯間ケアをしたあと、口じゅうに水を行き渡らせる「ブクブクうがい」でゆすげばさっぱり!
マスク生活中は「鼻呼吸」を意識
マスク生活をしていると、無意識のうちに口が開きっぱなしに。すると口の中が乾燥し、唾液が減少。殺菌効果のある唾液をしっかり分泌できるよう、鼻呼吸を心がけて。
「歯茎マッサージ」でイヤな菌を一掃
歯ブラシを歯と歯茎の境目に当てて刺激をすれば、血流が良くなります。「血流に乗って新鮮な酸素が行き渡れば、口臭の原因菌は逃げていきます」(鈴木さん)。
時間がないときは「お茶うがい」
緑茶や紅茶に含まれるポリフェノールには抗菌作用が。歯を磨く時間がないなら、お茶で口をゆすいで。雑菌は胃酸で死ぬので、お茶はそのまま飲み込んでOK。
頭臭 – 40代からは要注意
寝起きの枕からただよう「ミドル脂臭」。防ごうと思ってしっかり洗うと、かえって逆効果に。
40代の「ミドル脂臭」洗いすぎはNG!
加齢臭が出る年齢ではないはずなのに、頭皮のニオイが気になるのは、「ミドル脂臭」。頭皮の汗や皮脂が混じって生じます。
「ニオイを気にして、こまめに洗いすぎる人ほど要注意。洗いすぎると乾燥した頭皮を守ろうとして皮脂が増え、かえってニオイが悪化することも」と、桐村さん。必要以上のシャンプーは控えましょう。
シャンプーは1日1回まで
市販のシャンプーは皮脂を必要以上に落とし、頭皮の乾燥を招きます。すると体は頭皮を守ろうと、皮脂の分泌量を増加させます。ニオイが気になるときこそ、シャンプーは1日1回に。夜中にかいた汗が気になる朝は、お湯で流す程度にとどめるのが◎。
シャンプーを使わず、お湯で髪を洗う「湯シャン」。髪や頭皮に良いと聞いたことがある人も多いと思いますが、一番気になるのはベタつきやニオイ。湯シャンの効果や正しいやり方、続けるコツを美容師が解説します。
髪を洗ったらすぐに乾かす
頭皮を湿らせたまま放っておくと、湿気が好きな雑菌が増殖して、ニオイを発生させます。どんなに暑い日も、髪を洗ったらすぐに乾かして。
加齢臭 – 閉経前後にただよい始める
男性のものと思われがちな加齢臭ですが、女性も油断は禁物。生活習慣を見直し、予防して。
食生活の改善で加齢臭のリスクを軽減
閉経して女性ホルモンが減ると、皮脂が酸化しやすい状態に。さらに、加齢により「パルミトオレイン酸」という物質が増加。これが酸化すると“加齢臭”を起こします。
「予防のカギは『抗酸化』。食生活などを少し心がければ、かなり軽減できますよ」と、桐村さん。
抗酸化食材「ACE」でニオイ予防
抗酸化作用を持つビタミンA・C・Eを摂ると、皮脂の酸化によるニオイの発生を防げます。かぼちゃやピーマン、ブロッコリーなどを積極的に食べて。
買い物は早歩きがおすすめ
適度な運動は、体内の抗酸化酵素の働きを高めます。運動が苦手な人は、買い物などの移動を早歩きにすれば、それだけで皮脂の酸化や加齢臭の予防に。
わき・肌 – シミもニオイも防ぎたい
夏場のわきは、ニオイだけでなく汗ジミなども気になるところ。こちらも、対策しすぎは逆効果。
殺菌しすぎはNG 。基本は「拭く」「流す」
汗をかくと気になる、わきのニオイ。気にして制汗剤を使いすぎると、皮膚トラブルの原因にも。
「制汗剤の殺菌成分は、良い菌・悪い菌を区別なく一掃します。肌を守ってくれる菌まで退治してしまったり、殺菌成分で炎症を起こしたりすることも。
汗をかいたらすぐ拭き取るか、シャワーで洗い流すなどのケアで十分です」と、桐村さん。
「香り」でのカバーは、ほどほどに
複数のニオイが重なると、「変調」と呼ばれる反応が起こります。香りと体臭の相性が悪いと、思いもよらぬ悪臭になることも。体臭は日によって変わるので、香りをまとう前に少量を肌にのせて試して。
制汗剤の使いすぎは、ニオイ&炎症のもと
制汗剤に含まれるアルコール成分は、使いすぎると炎症を起こすリスクが。「炎症を起こすと体液が出て雑菌が集まり、かえってニオイが増すことも」(鈴木さん)。
自然の中を散歩して「体にいい菌」をゲット
ニオイを減らすコツは、常在菌の種類を増やすこと。多様な菌がバランスを取り合えば、イヤな菌がすみつく隙がなくなります。「野山や公園を散歩すれば、自然の中から菌をゲットできるかも」(鈴木さん)。
ねぎ臭・アンモニア臭は一休みのサイン
疲れやストレスがたまると、肝臓などの代謝が滞り、手足の汗のニオイがキツくなりがち。ねぎやアンモニアのツンとしたニオイがしたら、体からのSOSかも!? リラックスできる時間を作り、疲れを癒やして。
デリケートゾーン – 人知れず悩みがち
トイレのたびに気になる、ムレや酸っぱいニオイ。予防のキモは「安い下着」!?
「だるだる綿パン」がニオイ対策の模範解答
デリケートゾーンのニオイは、特に生理中や更年期に気になりがち。いずれの場合も、まずは下着を替え、ムレを防ぐのがケアの第一歩。
「一番いいのは、綿の下着。それも、ゴムが“だるだる”な安物がおすすめ。生理中も、できるだけ締め付けの少ない下着を選んで」と、駒形さん。
ニオイが強すぎるときは、病気の可能性も。放置せず医師に相談して。
[生理中のムレ&ニオイ対策]
生理で出る経血は、ニオイを引き起こす雑菌たちの大好物。ムレを避け、清潔を保てば、原因菌はいなくなります。
布ナプキンでムレ知らずに!
布ナプキンは肌に密着しないため、ムレ・ニオイが激減! 「抵抗がある人は、紙ナプキンと肌の間に綿の布を1枚はさむだけでも効果があります」(駒形さん)。
紙ナプキンをやめて布ナプキンに切り替えると、体にどんな変化が起こるのでしょうか? 編集部員が検証した結果、生理がラクになり驚きました。布ナプキンの効果や使い方を解説します。
「消臭・抗菌」タイプでもナプキンはこまめに交換
どんなに高性能のナプキンも、空気中の雑菌を取り込むことは避けられません。一度トイレで下着をおろしたら、ナプキンは汚れていなくても交換して。できれば1~2時間に一度は替えると◎。
タンポンは雑菌・ニオイを増やす
膣にとってタンポンは“異物”。どんなに清潔でも、異物が入るとおりものが増え、菌のバランスが変わり、ニオイやムレが増加。本当に必要なときだけ使って。
[更年期のムレ&ニオイ対策]
更年期は膣のうるおいが減少。それを補うために菌が増殖すると、におうように。うるおいを増やすケアを紹介します。
会陰マッサージで血流アップ
お風呂に入ったら、鼠径部や膣のまわりを指でほぐして。指で円を描くようにマッサージすれば、血流が上がって常在菌が活性化。膣を守ってくれます。
石けんは使わずお湯洗いで十分
膣の中まで洗うと、必要な分泌物や常在菌まで洗い流し、乾燥の原因に。石けんは使わず、表面をお湯で流すだけで大丈夫です。
水分補給はしっかりと
水分不足になりがちな現代人。しっかり水分を摂り、膣にもうるおいを取り戻して雑菌をブロック。スポーツドリンクや天然水が◎。
おりものの異変は病気のサインかも?
健康なおりものは透明やクリーム色で、やや酸っぱいニオイ。色やニオイが膣の健康状態を示すので、異変があったらすぐに受診して。ちなみに、おりものシートはムレを引き起こすので、基本的には不要です。
イラスト/前田はんきち
(からだにいいこと2021年8月号より)