シミ・ほうれい線どころじゃない! 最先端「美肌トリビア」で“不老肌” へ
ここ最近、私たちの想像をはるかに超える細胞や遺伝子レベルでの研究成果が次々に報告されています。中でも、再生医療の分野で注目の幹細胞を使った若返り法は、すでに実用化されています。シミ・ほうれい線どころじゃない、細胞から若返らせる最新研究までを解説します!
目次
細胞レベルの ”若返り” で老けない肌が手に入る!?
「幹細胞には、どんな細胞にもなれる『多能性幹細胞』(ES細胞やiPS細胞など)と、寿命を迎えた細胞の代わりを作る『組織幹細胞』があり、現在肌の若返りに用いられているのは組織幹細胞です。
皮膚を小さく切り取って培養した後、必要な時に老化が気になる部位に注入することで、幹細胞が線維芽細胞になり、コラーゲンを生み出すと期待されています。また、自分の脂肪幹細胞を培養し、皮膚に注入する方法もあります」(慶田さん)
まさに細胞レベルでの若返りを叶える、夢のような技術です。
「現時点では効果が穏やかな割に費用が高額ですが、将来的には効果はより高く、費用は安くなるはず。今後に注目です」
ー 幹細胞とは ー
失われた細胞と同等の細胞を生み出す能力をもつ細胞。人体を構成する細胞は、一定の寿命で終わりを迎える。また、ケガなどでダメージを受け修復が必要になることもある。そうした場合に、失われた細胞と同様の細胞を生み出し補充することで、組織構造を保つ役目を果たす。
TOPIC 1 : iPS細胞で老化は止められる!?
話題の「iPS細胞」が、肌のコラーゲンを育てる「線維芽細胞」の寿命に関わることが、化粧品会社コーセーの研究で判明。染色体の端にあり、加齢で短くなるはずの「テロメア」の長さが、iPS細胞によって回復しました。iPS細胞と老化の関係は、今後さらに注目です。
テロメアの長さと老化の関係
テロメアは細胞の染色体の端に付いている部分で、細胞分裂を繰り返すたびに短くなる。テロメアが一定以下の長さになると分裂が止まり、その細胞は死を迎える。
“老化の指標” テロメアが長く!
同一人物から長期にわたって皮膚の線維芽細胞を採取。そこからiPS細胞を作り、再び線維芽細胞を作り出したところ、細胞分裂を繰り返す=“老化”により短くなるはずのテロメアの長さが回復!
※コーセーの研究報告より
TOPIC 2 : 好奇心が高まると、肌の弾力もUPする
人の脳は、好奇心が刺激されると気持ちを高揚させるホルモンを分泌しますが、それにより肌の弾力が高まるという報告があります。さらに、弾力が上がった肌に触れるとますます好奇心が高まるという、肌と心にうれしい相互サイクルが発生!
via ※ポーラ化成工業による図「『好奇心』と『肌の弾力』の相互サイクル」の一部を抜粋・改変
TOPIC 3 : 植物の力を科学的に解明して、美肌に活用!
漢方で美肌やリラックス効果があるとされる「杭白菊(クイシラギク)」のゲノム解析に、アメリカの企業が成功。また、保湿作用があることで注目されるラン科の植物「セッコク」は、研究開発の結果、近年質の高いものが安定的に栽培可能に。科学が植物と美容の橋渡し役を担っています。
TOPIC 4 : 自分の血液注入で、肌の若返りが進む
美容医療の現場で注目されている再生美容法「PRP注入」。自分の血液を遠心分離機にかけて血小板を濃縮した上澄み(PRP)を気になる部分に注入(写真下)し、ハリを取り戻すもの。近年では小さな針が付いた機器で肌に傷を付けてPRPを塗布する広範囲治療も可能に。
イラスト/カシワギマリ
(からだにいいこと2020年1月号より)
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