神経科医が教える、家族がフワッと仲良くなる「魔法のことば☆」
家族での行動が増える夏休み。みんなで仲良くしたいのに、夫とはケンカばかり、子供はなかなか言うことを聞いてくれない……。自分も家族もギスギス、イライラした空気のときは、こんな「魔法のことば」を。たった一言で、家族の心がフワッと優しく明るくなりますよ。
夫や子供が嫌がるのは“自分都合”のことば
家事を手伝ってくれた夫とケンカになったり、夕食後、テレビばかり見て勉強しない子供にイラっときたり…。こんな家庭内の “お悩みシーン” で役に立つのが、「魔法のことば」です。
イライラ・ギスギスしがちなシーンでも、一言投げかけると、相手の心がフワッと軽くなって、家の中が明るく穏やかな空気に。
「家族がうまくいかないのは、それぞれが自分本位になっているから。夫にお願い事をするときも、子供に行動を促すときも “自分都合” のことばになっていませんか? それが伝わると、相手は理不尽さを感じます」と話すのは、長年子供や家族の心の問題を診療してきた、どんぐり発達クリニックの宮尾益知さん。
また、夫にお願い事をするときは “理由” を付け加えるのも効果的。ただ『運んでよ』と言われると、妻に使われている気分に。『重いから運んでほしい』と理由を添えると、男性は納得して行動できるので険悪になりにくくなります。
夫とケンカが減って、穏やかになる!
ちょっとしたことで口ゲンカになる夫とも、言葉のかけ方しだいで、お互いを尊重し、気遣いをしあえる関係に。心が穏やかになって、夫婦仲が一挙に好転!
お悩みシーン(1) 家事を手伝ってくれた夫とケンカに !
好意で手伝ってくれたのに、お皿に洗い残しがあったり、テーブルが汚れていたり。つい「まだ汚いよ」なんて言ったら、「だからイヤなんだ!」と、怒ってしまい険悪ムードに。
あれこれ言われると夫は妻の下僕と感じます。こんな時は「あなたのやり方でやってね」と、夫のやり方を尊重。普段外で仕事をする男性は、任されたら責任感が働くもの。「自分のスタイルでいいんだ」と思わせると、気持ち良く手伝ってくれます。
手伝ってくれたら、「こういうの上手だよね!」とほめて感謝する魔法の言葉をプラス。すると、「これはまた俺がやるよ」と、自然と助け合える仲に!
お悩みシーン(2) 大事な相談事なのに、なかなか返事をくれない
仕事で即決を求められることが多い夫。家庭でも即返事を迫るとマジメな人ほど負担に。重要な相談事こそ、「2週間後くらいに返事を聞かせてね」と、時間を与え期日を言葉で伝えると、男性は答えやすくなります。
お悩みシーン(3) 夫が落ち込んでいる、弱音を吐いている
「そんなの気にしないで」など、軽い励ましはNG。話に共感したうえで、「私なら、こうするわ」と自分の意見を。相手ではなく自分を主語にすることで、夫は「そんな解決策もあるのか」と、冷静になり元気を取り戻します。
お悩みシーン(4) 仕事から帰った夫と話すとケンカになりやすい
男性は、仕事と家庭では全く別のスイッチが入っているもの。ONモードで働いてきた夫は、すぐに切り替えができません。「一日、おつかれさま」と、妻からOFFモードに引き入れる言葉をかけると、ケンカになりません。
お悩みシーン(5) 夫の意見に疑問を持ったとき
夫に賛同できない時、「でも」や「そうじゃなくて」など、否定ことばから話すのはダメ。話したいことを初めから遮られると、強く否定された気分に。「うんうん、そうなんだ」と受け止めてから意見すると、会話がスムーズ。
子供が素直になって、家族が和む!
思うようにいかない子供とのコミュニケーションがスムーズに。子供が素直になって明るくなると、家族みんながニコニコ!
お悩みシーン(6) ゲームや遊びにばかり夢中になっている
時には「しっかり遊んできなさい」と、開放する言葉を。親がそれくらいの余裕を見せることで、子供も親を信頼して、決まった時間に遊びをやめられるように。子供の自尊心が育つのは、自由な冒険や遊びがあるからこそ!
お悩みシーン(7) 学校であったことをあまり話してくれない
学校でのネガティブ話は、親にも話したがりません。「お父さんには言えないけど、実はね」と、自分から子供の頃の失敗談を話してみて。「お母さんもそうだったのか」と同じ立ち位置に感じることで、口を開いてくれるように。
お悩みシーン(8) 夕食後もダラダラとテレビを見ている
「お風呂は?」などと言いたいところですが、本音は「早く寝て」という親の都合。そんな時は、「9時からはお母さんの時間ね」と伝えてOK。子供は親を一人の人間として理解でき、自分も休息をとると家族に優しくなれます。
お悩みシーン(9) 子供が失敗してしまった
テストの点数が悪かった、試験が不合格だったなど、失敗した子供には、原因を探る前に「がんばったね」の一言を。弱った時の子供は、気持ちに寄り添ってくれる人がいると安心します。親が、子供の感情の器になりましょう。
お尻が重い夫や子供には? 上手な接し方
なかなか動いてくれない、困った夫や子供には、自分から賢くアプローチを。自分もうれしく、家族も楽しくなります!
●勉強をしない子供には…
親がテレビを見てゲラゲラ笑っていたら、子供だって勉強のやる気がダウン。こんなときは、両親もテレビを消して本や新聞を読み、家中を知的モードに。子供をその気にさせましょう。
●お手伝いしてくれない子供には…
例えば、おつかいをお願いするときは、「夕飯はカレーにするから、材料は何が何個必要でしょう?」と問題を出題。何でもクイズ形式にすると、子供は楽しんで参加してくれるように。
●子供と遊んでくれない夫には…
子供に無関心な夫には、子供と遊ぶ姿を目の前で見せてみて。「最近はあそこの公園がお気に入りみたい」など、近況をさりげなく伝えるのも、自然と目線が子供に向く効果が。
すぐ使える! こんな時の座りかた
●夫がイライラしている、ケンカになりそうなとき
話しかけたいけど夫がイラついているときは、ななめ向かいに座って。正面だと対決姿勢になるので、これなら刺激せず穏やかに話せます。
●子供とちゃんと話し合いたいとき
座ったときのひざまでの距離は、人のセーフティーゾーン。自分のひざと子供のひざをくっつけてその距離をやぶることで、子供が心を開いて話してくれます。
●子供が落ち込んでいるとき
子供が弱っているときは、横に並んで目線は同じ方向に。表情が見える正面は、伝わる情報が多すぎます。声だけ聞こえるほうが、心が寄り添っている感覚に。
あなたのたった一言が、みんなの心のサプリに!
家族仲が良くなると子供も素直に成長して、ますますいい効果が期待できますよ。
イラスト/尾代ゆうこ
(からだにいいこと2014年7月号より)
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