だるい、眠い、疲労感、倦怠感…。そんな症状は「すい臓」が原因?
やたらと眠い、体が重い、お腹を壊しやすいなど、病気ではないけれど慢性的な不調がある人は多いですよね。そんなよくある不調の原因は、もしかしたら「すい臓」の疲労かもしれません!
目次
「すい臓」ってどんな臓器?
すい臓は胃の裏側にある長さ15cmぐらいの臓器です。消化液をつくったり、血糖値をコントロールするインスリンというホルモンをつくっています。
すい臓の2つの大切な役割
(1)消化液を作る
炭水化物・たんぱく質・脂質を消化するすい液を作ります。食べ物が入ってくると、胃で消化された食べ物をさらに消化する十二指腸にこのすい液を送り込みます。
(2)インスリンを分泌する
血液中の糖分量をコントロールするホルモン、インスリンを分泌して、血糖値を一定にキープします。
こんな人はすい臓が弱っているかも…不調サインは?
すい臓は胃腸や肝臓と比べると、労わられることはあまりなく、存在感はイマイチ。胃の裏側にあり、病気になっても見つかりにくいので要注意。「睡眠が足りない」「疲労感がすごい」「倦怠感でやる気が起きない」など初期の不調のサインを見逃さないで。
□体が重だるい
すい臓が弱り、お腹周りの不快感が長期間続くと、エネルギーが消耗し、次第に全身の倦怠感が強くなっていきます。
□とにかく眠い
すい臓が弱ると血糖値のコントロールができず、不安定に。低血糖状態になると急に眠くなったりします。
□左側のお腹や背中が痛む
すい臓は胃の裏側にあり、左側に伸びています。そのため、左側の背中やお腹が痛いときはすい臓の不調かも。
□大人になってからアトピーが再発
すい液の分泌が減ると、食べ物が十分消化されないまま腸に運ばれやすくなり、それがアトピーの原因になることも。
□胃薬を飲んでも不調が続く
すい臓が弱ると胃の不調に似た症状が現れることも。胃薬を飲んで治らないなら、すい臓の不調かも。
□よく下痢をする
すい臓が弱るとすい液の分泌が低下。少し食べ過ぎただけでもお腹を下しやすくなります。
□気が沈んだり、イライラしやすい
血糖値を一定に保つインスリンの分泌が低下すると、血糖値が不安定に。低血糖になるとイライラや落ち込みがあります。
お酒、脂っこい食事、睡眠不足…すい臓を弱らせるNG習慣
すい臓は食生活の影響を受けやすいので、甘いものや脂っこいものが好きな人は、知らないうちに負担をかけています。すい臓を弱らせるNG要因の代表格は次の6つです。
□お酒
詳しいメカニズムはわかっていませんが、飲み過ぎを続けていると、すい炎のリスクが高まります。お酒はほどほどに。
□脂もの
脂質を消化するには大量のすい液が必要なため、すい臓の負担増。オリーブオイルなども取り過ぎはNG。
□カフェイン
カフェインなどの刺激物を摂り過ぎると胃やすい臓を刺激。ダメージを受けやすくなります。
□ストレス
ストレスが胃酸やすい液の分泌を促すため、すい臓に負担がかかります。気分転換を心がけましょう。
□早食い
短時間で大量の食べ物を消化しようとすると、すい臓が疲労。よく噛んで食べると唾液が分解を助けてくれ、すい臓の負担が減ります。
□睡眠不足
起きている間はすい臓を含む内臓も覚醒モード。睡眠時間を十分とって内臓を休ませましょう。
不調で思い当たることが合ったら、NG要素を取り除き、すい臓の疲れをいやしてあげましょう。すい臓にやさしい生活をすることで、日頃の不調感が解消できるかもしれません。
気になる人は「腹部超音波検査」を
すい臓の不調サインを無視してすい臓に負担をかけ続けると、すい臓の病気になるリスクも高まります。
すい臓の病気には、なんらかの原因ですい液がすい臓自身を溶かして激痛になる「急性すい炎」、すい臓が炎症を起こして硬くなり機能が低下する「慢性すい炎」、「すい臓がん」などがあり、治療が難しいのが特徴です。
気になる人は、検査を受けると良いでしょう。すい臓は、近くにある肝臓・胆のうと一緒に腹部超音波検査でチェックできます。
その際に注意したいのは、「すい臓が気になる」とはっきり伝えること。すい臓は胃の裏側にあり、検査では丁寧に診てもらわないと、異常を見逃すリスクがあります。すい臓の検査は、消化器内科のあるクリニックや病院、人間ドックなどで受けられます。
検診を受けるとともに、すい臓にやさしい生活を心がけましょう。
イラスト/といだあずさ、野々村京子
(からだにいいこと2017年7月号より)
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