生理痛・生理前の不調は、青魚の「オメガ3脂肪酸」が効く!
栄養に関する研究で世界をリードするDSM社の“ビタミン博士”こと乾泰地さんが、栄養が深く関わっている不調について教えてくれるこの連載。今月のテーマは、「生理痛」です。女性にとって毎月ゆううつな生理。つらい痛みや不快感をやわらげるのは、体にいいといわれている青魚の栄養素でした。
目次
青魚の「オメガ3脂肪酸」が、生理痛をやわらげる
生理痛がひどくて、鎮痛剤でなんとか乗り切っている女性も多いはず。でもできれば、薬にたよらずに快適に過ごせたらいいですよね。
そんなつらい生理痛に、青魚などに含まれる「オメガ3脂肪酸」が効果的なことが分かってきました。痛みの他にも、吐き気や食欲不振、腰痛、イライラ感、顔のほてり、落ち込みなど、いわゆる「月経困難症」に対して、オメガ3脂肪酸を摂ると、それらの症状が緩和されたという研究報告があります。中には、生理中に鎮痛剤を飲む量が半分になったという結果もあります。
炎症を起こす物質を抑える
生理痛などの痛み、生理前の不調は、女性ホルモンが大きく影響しています。生理前になると、黄体ホルモンの「プロゲステロン」が減り、それと共に炎症作用を起こす物質の「プロスタグランジン」が体内で増加。炎症が起こり、痛みや不調につながります。オメガ3脂肪酸は、この「プロスタグランジン」の生成を抑えるといわれています。
オメガ3脂肪酸を摂るタイミングは、生理が始まって痛みが出てからよりも、黄体ホルモンの「プロゲステロン」が低下しはじめる排卵期(前回の生理の約2週間後)頃からを目安に。排卵期から積極的に摂り、「プロスタグランジン」を抑えておけば、次の生理のときに、痛みや不調が緩和されると考えられます。
摂るなら青魚・イカ・タコを
そもそもオメガ3脂肪酸とは、生活習慣病を予防するともいわれている必須脂肪酸で、私たちの体内ではつくることができません。だから食べ物で摂る必要があります。
オメガ3脂肪酸の代表といえば、青魚に多く含まれる「DHA(ドコサヘキサエン酸)」と「EPA(エイコサペンタエン酸)」。アジやサバ、いわしなどの青魚をはじめ、イカやタコ、川魚の鮎などもおすすめです。効率よく摂取するなら、刺身などで生で食べるのがいいでしょう。
ただし、サバなど生食がむずかしい魚もありますので、その場合は今人気のサバ缶などを活用するのもいいでしょう。同じ魚の缶詰でも、ツナ缶などの煮汁が取り除かれているものより、魚の栄養素が丸ごと入っているサバ缶、イワシ缶などの方が効率よく摂取できます。
オメガ3脂肪酸が豊富な食品
アジ・サバ・いわしなどの青魚
イカ
タコ
鮎 など
生理による片頭痛には「マグネシウム×ビタミンB群」
生理前に起こる「PMS(月経前症候群)」や、生理中に悩む症状の一つに「片頭痛」があります。片頭痛は、脳の活動が抑圧されることで血流が変化し痛みが現れます。「マグネシウム」を摂ると、その抑圧にブレーキがかかり、片頭痛の痛みを緩和することができます。
またビタミンB群(特にビタミンB6)は、マグネシウムの細胞への吸収をサポートしてくれる働きがあります。片頭痛が気になる人は、マグネシウム単体で摂るよりも、ビタミンB群も一緒に摂るようにしましょう。マグネシウムは海産物、ビタミンB6はバナナやにんにく、納豆などに多く含まれています。
マグネシウムが豊富な食品
海苔
ワカメ
昆布
ひじき
天草 など
ビタミンB6が豊富な食品
バナナ
にんにく
パセリ
玄米
マグロ
納豆 など
女性にとって生理は毎月あるもの。時には、仕事や家事ができないほど、PMS(月経前症候群)や生理痛がひどい、という声も聞きます。食事やサプリメントでこうした栄養素をふだんから摂り続けて、少しでも体への負担を減らしていきましょう。また、生活に支障が出るほどつらい場合は、無理せずにかかりつけ医へ相談を。
イラスト/斉藤明子
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