つながり、交換し合える「有機的な暮らし方」とは?
社会起業家ジョン・ムーアさんの“笑顔になれる暮らしのヒント”をご紹介します。 住まいのあり方から、オーガニックなライフスタイルについて考えていきましょう。
目次
この記事の監修:ジョン・ムーアさん
社会的な「つながり」に目を向けてみよう
私は、高知の山奥の小さな村に住んでいます。隣に住む男性は、いつも出かける時、必ず私に声をかけていきます。「ジョンさん、今日は山で作業をするから、帰るのは夕方になるよ」と。最初は慣れないやりとりでしたが、いつしかそれが当たり前となり、私も同じように会話をするようになりました。
彼の帰りを気配で感じながら安堵したり、彼も私が出張から戻ると嬉しそうに迎えてくれたり。これはまさに、お互いの安全を見守るセキュリティーシステムと言えます。また、畑で多くとれた野菜を分け合ったり、お堂を一緒に掃除したり。村の人々は、互いを気遣い、支え合いながら暮らしています。
しかし、現代の住まいや暮らしのスタイルは、こうしたつながりよりもプライベートが優先されています。住居も個々のプライバシーが守られた、閉ざされた空間が当たり前となりました。そのため、地域の人とも触れ合うことが少なくなっています。近所の誰とも話さずに、1日を過ごした経験がある人も多いと思います。このようなつながりのない生活が、豊かな暮らしと言えるでしょうか?
この現代の暮らしのあり方に、一石を投じた建築界のアワードが、私も審査員として参加している「LOCAL REPUBLIC AWARD(ローカル リパブリック アワード)」です。
この賞は、“建造物”ではなく、空間を通して自治的に地域の人々が交流しながら、持続可能な暮らしを実現させているかという、“活動”を評価するもの。人々が触れ合う空間を通し、交流したり、モノやコトを交換できる仕組みづくりを、地域に取り戻そうとする面白い動きです。この賞でも「つながり」は大切な要素となっています。
オーガニック(有機)の“機”の字は、機織り(はたおり)から来ているように、有機的な暮らしとは、様々なものが折り重なって成り立っています。地域の中で、お互いが影響を与え合っていることを忘れてはなりません。社会的な「つながり」の中で、互いに恩恵を受け取り、そして恩返しをしていく。それが未来を育み、本当の豊かさを与えてくれるエネルギーとなるのです。
ジョンさんも審査員として参加する 「ローカルリパブリックアワード」とは?
【LOCAL REPUBLIC AWARD】
自分や家族のためだけではなく、地域と共存できる住み方を推進する“活動”を表彰するアワード。
ジョンさんからの一言
ジョンさんがアンバサダーを務めるオーガビッツとは?
orgabits
日本で最も多くのアパレルブランドが参加するオーガニックコットン普及プロジェクト。オーガニックコットン100%にこだわらず10%の商品を100倍の人に届けるという「逆転の発想」で現在約100ブランドが参加。一枚の服を通しておしゃれに参加出来る社会貢献活動としても注目されている。
取材・文/坂田奈菜子
[ 監修者 ]