アメリカで話題。約21万円オンラインの歯列矯正とは?
ロサンゼルス在住の健康系ライター&ヘルスコーチの小山陽子です。ここ数年、アメリカで売り上げを急激に伸ばしている、オンラインの歯列矯正についてご紹介します。気になる値段や仕組みと、歯科医師の間で起こっている議論をまとめました。
半額以下! 通院なしのマウスピース型歯列矯正
Photo by Smile Direct Clubオーラルケアの意識が高く、ほとんどの人がきれいな歯並びをしているアメリカ。そんななか近年注目されているのが、オンラインの歯列矯正です。パイオニアとなったのが、通院不要、オンラインで自分専用の矯正マウスピースをオーダーできる「Smile Direct Club(スマイルダイレクトクラブ)」。ニューヨーク市場で上場も果たしました。矯正歯科に通う必要がないので、お金と時間の大幅な節約が可能に! 仕組みは、まずオンラインでファーストキットをオーダー。自分で歯型を取れるキットが送られてくるので、それを使って歯型を取ったら返送します。それを元に、3Dのトリートメントプランがメールで送られてきます。
どのように歯が動いて行くかを確認し了承した後に、その人に必要な分のマウスピースセットが送られてきます。1日22時間以上装着し、週に1度、新しいマウスピースに交換して、歯並びを矯正。ロサンゼルスなどの大都市には実際の店舗があるので、来店して歯型を取ってもらうことも可能です。送られてくるキットや、マウスピースのパッケージがおしゃれなのも人気となっています。
透明なマウスピース型の歯列矯正といえば、日本でも施術が受けられる「インビザライン」が有名です。これは矯正歯科に通院が必要なものでロサンゼルスでは、5000〜6000ドル(約56〜67万円)前後が主流ですが、通院不要の「Smile Direct Club(スマイルダイレクトクラブ)」だと料金は1895ドル(約21万円)と、半分以下の値段でできるのです。
美容目的? オンライン歯列矯正の問題点
「安い、おしゃれ、通院不要」と三拍子そろった、オンラインの歯列矯正。アメリカではすでに、「Smile Direct Club(スマイルダイレクトクラブ)」以外にも多数の企業が同様のサービスを展開しています。
ちなみに、アメリカでは矯正は矯正歯科医にかかる必要があり、一般の歯科医とは異なります。気になるのは、その安全性。実は、アメリカの矯正歯科学会や歯科医師会は同社のサービスの使用を控える声明を出しています。歯科治療でなく、美容目的の施術であるという議論も。オンライン歯列矯正は、自分の担当となる矯正歯科医がいないため、抜歯や歯の間を削ってスペースを作るといった施術はできません。いわゆる微調整ができないため、なかには歯が抜け落ちてしまい訴訟に発展したというケースもあるとか…。また、歯並びがかなり悪い人の場合、あまり動かすことができず、3Dのトリートメントプランを見て、断念する人もいます。
軽度の歯列矯正には有益
私が通っている歯科医のドクターに話しを聞くと、いくつかの注意すべき点を教えてくれました。
特に日本人の場合、アゴが小さく歯が大きいために、歯並びが悪くなっているケースが多数。オンラインの歯列矯正では、抜歯などでスペースを作るということができません。歯を外側に押して口腔内にスペースを作り、歯並びをそろえるということに。すると、出っ歯気味になったり、前述のように歯が抜け落ちるかもしれないというリスクがあるそう。
そして、オンラインで歯列矯正後、噛み合わせが悪くなるという場合も。結局、歯列矯正をやり直すとなると、費用と時間がさらにかかってしまうのだとか。アメリカでは、ほとんどの人が子どもの頃に歯列矯正を経験。大人になってからまた歯並びがずれてきたという人や、歯の間の隙間を矯正したいという人には、向いているようです。
オンラインの歯科治療は、おしゃれなパッケージと低価格という値段から、SNSで大きく話題になっています。歯は一生ものですから、メリットとデメリットを理解して利用したいですね。※1ドル、111円で計算しています。
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