ストレスで心身疲労。「チェアヨガ」が効く理由|ストレスオフ(4)
ストレスオフ・トレーナーの高橋昭子さんが、心と体を軽くする方法を提案する「ストレスオフ」連載。第4回はイスに座ってできる「チェアヨガ」です。ヨガより呼吸に集中しやすく、ストレスオフ効果抜群です。
目次
心と体に溜まったストレスで自律神経はお疲れ
忙しい現代女性は、人間関係の悩みなどの「精神的負担」と、仕事や家事などの「肉体的負担」が積み重なり、日々ストレスと戦っています。身も心もストレスでヘトヘトにならないために、溜まる前に事前に予防することが大切。「ストレスオフ」とは、自分自身をケアして心と体をストレスから守ることをいいます。
ストレスで一番影響を受けるのは、「自律神経」。自律神経とは、体温や血流、発汗調整など、体のあらゆる機能をコントロールしている神経です。無意識のうちに体温が上がったり下がったりしているように、自律神経は自分の意志でコントロールすることはできません。しかし、「呼吸」だけが唯一、自分の意志で自律神経に働きかけることができるのです。
自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」があります。通常、日中活動しているときは交感神経が優位に、リラックスしているときは副交感神経が優位になっています。しかし、ストレスで心や体が疲弊している人は交感神経ばかりが優位になり、なかなか副交感神経に切り替わりません。
ストレスによってスムーズに切り替えができなくなった自律神経。それを整えるためにおすすめしたいのが「チェアヨガ」です。副交感神経を優位にするには呼吸が肝心です。緊張して心臓のドキドキが止まらないときに深呼吸をすると、リラックスすることができますよね? これは呼吸によって副交感神経が優位になるからです。
ヨガより手軽な「チェアヨガ」
呼吸の中でもヨガの呼吸法は、自律神経を整えるのにとても効果的ですが、ヨガをやったことがない人や慣れていない人は、周りの人と体の動きが合っているか気になって呼吸に集中できないことがありますよね。また、体がグラグラして呼吸が浅くなってしまうこともあります。
一方、イスに座ったまま行う「チェアヨガ」は、普通のヨガと比べて体が安定しやすく、初心者でもしっかり呼吸に集中できます。また、マットやヨガウェアがいらないので、イスさえあればオフィスや自宅で、いつでも簡単に行えるのも魅力です。
それではさっそく、「チェアヨガ」のくわしいやり方をご紹介しましょう。
【チェアヨガ1】ねじったイスのポーズ
イスに座ったままウエストをねじるポーズ。ゆっくり呼吸をくり返すことでリラックス効果があり、内臓の活性化やウエスト引き締め効果もあります。
【動画】チェアヨガ (1)ねじったイスのポーズ
(1)イスに浅く座って両脚を揃え、胸の前で両手を合わせる。
(2)股関節から少し前かがみになり、左ひじを右ひざの外側に引っ掛ける。
(3)胸の真ん中で手のひらを押し合い、息を吸いながら背筋を伸ばし、吐く息でひじとひざを押し合い、おへそから上半身をねじる。右ひじ越しに天井を見たら、まぶたを閉じてゆっくり3~5回呼吸を繰り返す。ひじを外して体を正面に戻し、反対側も繰り返す。
【ポイント】
●おへそからねじって呼吸でお腹の中をマッサージするイメージで行います。
●首がつらい人は天井を向かず、床に目線を落としてもOKです。
【チェアヨガ2】眠り鳩のポーズ
お日様の下で鳩がうたた寝をしているような心地良いポーズ。上半身の力を抜いて、体の重みで気持ちのいい伸びを感じましょう。下半身の血行改善効果があるので、デスクワークの人におすすめです。
【動画】チェアヨガ (2)眠り鳩のポーズ
(1)イスに深く座り、両脚を肩幅に開く。
(2)右の足首を左ひざに乗せる。
(3)息を吸いながら背筋を伸ばし、息を吐きながら股関節から上半身を軽く前に倒す。右のお尻周りや太ももの裏が気持ちよく伸びる位置で、まぶたを閉じてゆっくり3~5回呼吸繰り返す。
(4)上半身をゆっくり起こして両手で足を下す。足を組み替えたら、反対側も繰り返す。
【ポイント】
●前に倒れるときは、背中が丸まらないようお腹と太ももを近づけるイメージで行います。
●足首をひざの上に乗せるときは、かかとを蹴り出すようにしましょう。
いかがでしたか。1ポーズやっただけでも呼吸が自然と深くなったのではないでしょうか。イスに座るので普通のヨガよりも体が安定し、ヨガの経験がなくても効果を感じやすい「チェアヨガ」。ご紹介したポーズは狭いスペースでもできるので、仕事中や家事の合間にすぐできます。
仕事でイライラ、モヤモヤしたとき、プレッシャーで心が落ち着かないとき。そんなときに行うと、呼吸が整って、乱れた心もスッキリ。オン・オフを切り替えてストレスを解放したいときに試してみてくださいね。
撮影/代 和佳子
[ 著者 ]