エクオールに注目!更年期の手の痛み・しびれ・違和感の原因と対処法は?
心身共にさまざまな症状があらわれる更年期世代。そんな更年期症状のひとつで、悩んでいる女性が多いのが「手の痛み」や「しびれ」「違和感」などの手のトラブル。その原因は、女性ホルモンが大きく関係していることが分かりました。今回は編集部が、東京で行われたNHKエデュケーショナル健康フォーラム「治りにくい手指の痛み~女性ホルモンが原因~?」に参加。セミナーで紹介された原因や対処法をまとめました。
目次
治りにくい更年期の「手の痛み」。原因は「女性ホルモン」だった!?
更年期世代の不調で、誰にも相談できずに悩んでいる人が多いのが「手の痛み」や「しびれ」「違和感」です。ホットフラッシュやメンタル不調などの症状はよく取り上げられますが、手の痛みや違和感は、症状があらわれても更年期と結びつけにくく、痛みをガマンして生活したり、「ただの使い過ぎ」と思って放置したりする人が多いそうです。
下記のような手の症状で悩んでいませんか?
□手や指が痛い
□指が曲がって変形してきた
□手がこわばる
□手指に違和感が続く
□手指が腫れてきた
□モノがつかめない、指ではさめない、握れない
□容器のフタが開けられない
更年期症状が気になりはじめる40代で約60%、50代で約90%の女性が、手の変形性関節症という調査もあり、最近の研究で、原因のひとつに女性ホルモンが関係することが分かってきました。
「エストロゲン」の減少で、手指に痛みが生じる
四谷メディカルキューブ手の外科・マイクロサージャリーセンター長の平瀬雄一先生は、「女性ホルモンの『エストロゲン』が減少することで、手指の痛みにつながる場合がある」と話します。
「エストロゲン」は、自律神経のバランスをとったり、女性らしい体を作ったりするために働いています。通常、関節などに存在する「エストロゲン」は、「エストロゲン受容体」と合体して働きますが、年齢と共にエストロゲンの分泌が減少すると、受容体が空いてしまいます。すると、手指に痛みやしびれが出たり、変形したりするのです。
大豆由来の成分「エクオール」が、「エストロゲン」の代わりに
更年期世代の「エストロゲン」減少を急に食い止めることは難しいですが、「エクオール」という成分が代わりに優秀な働きをしてくれます。「エクオール」とは、大豆などに含まれる大豆イソフラボン一種の「ダイゼイン」が、腸内細菌と合わさって生まれる成分のこと。
大豆を積極的に食べて、手のトラブルを予防
更年期世代の女性の味方になってくれる「エクオール」ですが、実は腸内で作り出せるのは、日本人のおよそ50%しかいません。「エクオール」を作り出せる腸内細菌を、持っている人と、持っていない人がいます。
いずれにしても、ふだんから積極的に大豆製品を食べて、大豆イソフラボンを摂っておくことが大切です。大豆成分から摂るほか、サプリメントもあります。また、自分が「エクオール」を作り出せるかをチェックできる、検査キットも販売されています。
●更年期世代の大豆製品の摂取目安(1日)
・豆腐 2/3丁(200g)
・豆乳コップ 1杯(200ml)
・納豆 1パック など
ヘバーデン結節、ばね指、母指CM関節症…たくさんある手の病気
手の病気は、数にすると100近くあるそうです。その中でも更年期世代に多い病気はこちら。
●更年期世代に多い「手指の病気」
・ヘバーデン結節…第1関節の変形や痛み
・ブシャール結節…第2関節の変形や痛み
・手根管症候群…母指から中指までのしびれ・痛み
・ばね指…指の腱鞘炎(けんしょうえん)が進行したもの
・母指CM関節症…母子の付け根付近の痛み
・ドケルバン症候群…手首の母指側に腫れと痛みがある
手の痛み・しびれ・違和感が出はじめたら?
個人差はありますが、ちょっとした手の痛みを感じはじめてから、7~10年ほどかけてじわじわと変形したり悪化したりしていくそうです。
手のトラブルを感じたら、こんな対処法・治療法があります。
① 予防(手指をなるべく使わず安静にする、テーピングをするなど)
② 病院へ行く、治療をする(ビタミン剤や消炎鎮痛剤、ステロイド注射など)
③ 手術(ひどい場合は切開や関節の固定など)
「なんだかおかしい」と思ったら、早めに医師に相談を。下記の「日本手外科学会」のホームページで、全国の専門医が探せます。悩んでいる人は、お近くの医療機関を探してみてください。
更年期世代は、心も不安定になりがち
体の変化もつらいですが、ストレスが多く心の負担も大きいのが更年期世代。両親の介護や、子どもの教育費、自分の仕事など、心配事はつきません。ホルモンの変化で、イライラしたりうつっぽくなったりと、メンタルが不安定になる時期です。
そのため手の痛みがつらくても、自分のことは後回しで家族など周りの人に相談できないことも。放っておくと日常生活が困難になる場合もあります。家族に言いづらいときは、同世代の友人などに話を聞いてもらうのもいいでしょう。
「女性の健康とメノポーズ協会」では、健康相談対話士による電話相談も行っています。
なかなか治りにくい手の痛み。ガマンせずに早い段階で医師に症状を診てもらい、治療していくことをおすすめします。