感染症の予防にも!ウイルス・花粉をラク〜に除去する掃除術
家庭内でも感染症予防への注目が高まっています。普段の掃除が危険を撒き散らす原因になることも! 今回は感染リスクを減らす意外なコツや、花粉症を予防する掃除のノウハウを公開します。
目次
汚れがたまる場所を知り、効率よく菌や花粉を減らす!
掃除機かけや雑巾がけなどのふだんの掃除が、こなすだけの “作業” になっていませんか?
「とりあえず見た目がキレイになって満足していては、健康を損なうことも」と指摘するのは、病院や介護施設の衛生管理の専門家・松本忠男さん。
家の中には、目には見えないウイルスや花粉、菌がたくさん! 掃除のやり方によってはこれらをまき散らしてしまい、感染リスクを高めることに。
「大切なのは、掃除でウイルスや花粉を含んだホコリなどの量を減らし、病原体を取り除くこと」と言います。
科学的に正しい掃除術は、まずウイルスや花粉が混じり込んだホコリを減らすことから。
「要所をピンポイントで”ちょこちょこ掃除”するのがコツ。清潔な部屋をキープできますよ!」
Point1: 家じゅうの危険スポットを優先して掃除する
部屋の角や壁など「ホコリがたまりやすい」場所や、テーブルまわりなど「飛沫が飛びやすい」場所の汚れを減らすことが大切。効率的に掃除ができて、家事時間も短縮!
外から家の中に持ち込まれたウイルスや花粉はホコリと混ざり、咳やアレルギーを引き起こす原因に。ホコリを舞い上げない注意が必要。
寝室は家の中でもっともホコリが発生する場所。微粒子カメラで撮影すると、勢いよく布団を動かした際、大量のホコリが拡散!
歯磨きやうがいをする洗面台。飛び散った水滴には、ウイルスや細菌が含まれています。
ふたをせずトイレの水を流すと、ウイルスや菌を含んだ水滴が飛び散り、トイレの床や壁に。家庭内感染のリクスが高くなります。
冷蔵庫や電子レンジの取っ手など、手で触れる場所が多く、食中毒やウイルスの感染経路になるリスクが大。
食事や会話をするテーブルの上は、唾液や食べカスなど、ウイルスが含まれた飛沫汚れがつきやすい場所。
カーテンレールの上や窓周りには、花粉やPM2.5を含んだホコリが付着しています。手が届きにくいので放置されがちに。
ホコリに混じったウイルスは、エアコンの風や気流に乗って移動。まず天井付近の壁にくっつきます。特に、エアコンなどの家電製品の周りはホコリがたまりやすくなります。
Point2:「やってはいけない!」3つのこと
窓を開けてはいけない
掃除中に窓を開けるとホコリが舞い上がって部屋中に拡散し、ホコリを取りきれません。換気は掃除を終えたあとに。
いきなり水拭きしてはいけない
テーブルや床をいきなりぬれたクロスで拭くのはNG。水分で雑菌を塗り広げることに。まずは乾拭きで汚れを減らして。
ゴシゴシ拭いてはいけない
何度も同じ場所をゴシゴシと拭くと、かえって汚れを広げてしまいます。力を入れずホコリを一方向に集めて拭き取って。
Point3:「ついで掃除」がちょうどいい
家の中を隅々までキレイにするのは大変。気流や静電気によってホコリが集まる場所さえ正しく掃除できていればOK。
掃除する場所が少ないだけでなく、日常動作のついでにサッと行うことで汚れがたまりにくく、改めて掃除しなくても済みます。
危険スポット別 ウイルス・花粉のスッキリ掃除術
ここからは、病院掃除のプロ直伝の各スポット別の掃除法を解説します。
危険な場所だけ押さえておけばOKです!
ウイルスと花粉を表示。それぞれに効果的な掃除術をチェックして。
みんなが頻繁に触れる場所は、ウイルスや食中毒の感染経路に。アルコールを吹きつけるよりも正しい拭き掃除を先に!
重曹水で取っ手の汚れを除去する
冷蔵庫や電子レンジ、収納扉などの取っ手は、ウイルスに汚染された手で触れる可能性が高く、感染リスクも増! また、皮脂を含んだ手あか汚れも付着しています。
手あかは病原体のエサになって食中毒を引き起こす恐れが。料理の合間などに、重曹水で汚れを除去しましょう。
手の触れる場所は、重曹水をスプレーして3分放置してから、乾いたマイクロファイバークロスで一方向に拭き掃除。細かい汚れを逃さずキャッチします。
コンロまわりの油汚れをサッと拭き取る
コンロを使ったあと、すぐにコンロや五徳の汚れをキッチンペーパーで乾拭きしましょう。油がこびりつく前なら、こすらずにラクに落とせます。
ホコリと油が重なってベタベタになってしまった場合は、酸性の油汚れを分解してくれるアルカリ性の重曹が効果的。床のベタつきも重曹水を吹きかけてから拭き取って。
家族が集まるダイニングテーブルは飛沫がつきやすく、家庭内感染リスクがもっとも高い場所。汚れを除去して“ウイルスの量を減らす”のが鉄則!
食事が終わったらすぐに乾拭きする
食事のあとは、テーブルの上に付着した飛沫汚れをこまめに除去。ウイルスが含まれたホコリや油汚れをためないことと、細菌の増殖を防ぐことが大切。
食べこぼしには重曹水をスプレーし、3分放置してから、キッチンペーパーで汚れが伸び広げないようにスッと拭き取ります。
[これはダメ!]乾拭きせず除菌シートで拭く
汚れを取らずアルコール消毒したり、除菌シートで拭いたりすると、汚れがアルコールで溶けて広がるので注意。
テーブル周りに集まるホコリを取る
テーブルや椅子の脚には、ウイルスや花粉、髪の毛などの汚れが混じり合ったホコリがびっしり。フローリングワイパーにドライシートをセットし、家具に沿って一方向にゆっくりと滑らせます。
掃除のタイミングは、空気中のホコリが床に落ちきった朝がおすすめ。ドライシートなら乾いたホコリも湿った汚れも広げずキレイに掃除できます。
手洗いやうがいの際に、唾液などのしぶきが洗面台や床、壁にも飛び散っています。こまめに拭き取って乾燥させる習慣を。
手洗いや歯磨きのついでに水分を拭き取る
キッチンペーパーで洗面台の水分をペタペタと吸い上げるように拭いたら、すぐに捨てましょう。
呼吸器感染症を引き起こす「緑膿菌(りょくのうきん)」を塗り広げる恐れがあるので、使用済みの湿ったタオルを使うのはNG。
手を洗うときは排水口の近くの低い位置で洗うように。水ハネを減らす工夫も大切。
便器から掃除を始めると、水や菌が飛び散ります。壁→床の順にホコリを取ってから便器掃除を行うこと。
手作りの松本式スクイージーなら、ホコリが切り込みにつき、効率的に掃除ができます。
手が触れる場所は、トイレットペーパーで “ちょい拭き”
便座や便器のふた、スイッチ類など、無意識に触る箇所が多く、感染リスクが高いトイレ。
頻繁に触れる部分をトイレットペーパーで拭き、そのままトイレに流すだけでも、手から感染するウイルス予防につながります。便器のふたを閉めてから流すのも忘れずに。
床は奥から手前にスクイージーを引く
トイレの壁や床のホコリは、病原菌の温床。トイレのホコリの中では、約10倍も細菌が増殖しやすいというデータが。
手袋を着用し、松本式スクイージーを使い、壁のホコリは「上から下」へ、床は「奥から手前」へと一方向にひきます。ホコリの飛散を防ぎながらしっかり集めることを心がけて。
使用後のスクイージーは中性洗剤で洗い、シャワーで流して干しましょう。
便器は、ビニール袋をかぶせたブラシで掃除
便器の掃除は、壁と床を掃除したあとに行うのが鉄則。便器の掃除に欠かせないトイレブラシとケースは、汚染された水がたまって不衛生になります。
トイレブラシにビニール袋をかぶせて使うことで、衛生的に保つことができます。トイレ用洗剤は、水あかが落ちる「キレート剤入り中性洗剤」を使用。顔はなるべく便器に近づけないように気をつけて。
湿気とホコリ、花粉がたまりやすい布団。大量に舞うホコリを効率的に除去し、拡散を防止して。
布団のホコリは粘着クリーナーで取る
ホコリを掃除機で吸うより、表面についている汚れやホコリを取ることを優先。片手で軽く布団をひっぱりながら、粘着クリーナーで表面を一方向になぞります。
ホコリを抑えるためには、ベッドから勢いよく起き上がらないことも予防のひとつ。
[裏ワザ]枕の上と下、掛け布団の顔の当たる部分をそれぞれバスタオルでカバー。毎日交換して。
凹凸のあるカーテンレールの上はホコリがいっぱい。窓を開けるたびに部屋の中に散らばってしまうので見落としは禁物!
ハタキを使って高所のホコリを除去
カーテンレールの掃除には、100均などで手に入る化繊ハタキが大活躍。手でハタキをクシュクシュとこすると、ホコリを吸着する力が強くなって◎。一方向にハタキをゆっくり滑らせます。
背の高い本棚や壁かけ時計などの花粉やホコリも取り除きましょう。ハタキはたまったホコリを水洗いし、乾かすことで繰り返し使えます。
花粉のほとんどは、外出先から衣類やバッグにつけたまま持ち込まれます。花粉の“水際対策”を。
ウェットティッシュで衣服についた花粉を落とす
家の中に花粉を「持ち込まない」ためには、玄関に入る前に、衣服やバッグにウェットティッシュを押し当てるようにして拭き取ってください。
花粉をパタパタと払うのは花粉が舞うのでNG。舞った花粉はシャワーで洗い流せるので、花粉症がひどい人は浴室で着替えを。
イラスト/福岡麻利子
(からだにいいこと2021年4月号より)